潰瘍性大腸炎は下血、下痢、腹部の痛み、発熱などの症状を引き起こす病気です。免疫の異常によって起こるとされていますが、原因は特定できておらず、難病指定されています。20代前後に発症することが大半のため、勉学や仕事への影響が大きく、生活面で苦労することも多くなってしまうでしょう。
潰瘍性大腸炎と漢方.jpgこの病気の特徴として、良くなったり悪くなったりを繰り返すという点があります。良い時には何の問題もなく生活できますが、急性期には1日に何十回と排便する必要がありますし、痛みを伴うことが多いため、生活に支障をきたします。
またガンなどの別の病気を引き起こす可能性が高いとも指摘されている点も、気になる情報でしょう。
潰瘍性大腸炎と病院で診断されると下痢止め、抗炎症薬、ステロイドなどが処方されることが多いようです。しかしこれらのお薬を長期に服用することに抵抗がある方や、副作用により服用が難しい方も多く見受けられます。またお薬の効果がさほど認められない方もいらっしゃるようです。
一方で漢方薬はその症状の軽減に役立つことが多く、普段から服用することにより、発作の抑制にも役立ちます。
潰瘍性大腸炎は腹部に炎症を伴いますので、その部分は”熱”を生じています。よって漢方的に”熱”を冷ますお薬が必ず必要となります。なおかつ下痢をしていますので体の余分な”湿”を取るためのお薬があると良いでしょう。ただし、出血をしていますので、血行を良くするような生薬は原則として禁忌となります。
その他、その方ならではの体質を見極めながらお薬を選択していく必要がありますが、潰瘍性大腸炎の方に一番良くマッチするお薬が「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」です。このお薬には熱を冷ますお薬も、湿を除くお薬も入っており、なおかつ胃腸の機能を整える働きもありますから非常に有用です。
その他「星火健脾散(せいかけんぴさん)」「晶三仙(しょうさんせん)」「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」なども状況によっては併せて使っていく必要があります。
代表的なお薬の例を挙げさせて頂きましたが、同じ潰瘍性大腸炎の方であっても、合うお薬の種類は異なります。漢方に詳しい薬局や病院で一度相談された上で服用されることをお勧めします。お薬は胃腸で吸収されて効果を発揮しますが、その胃腸自体が弱っている潰瘍性大腸炎の患者さんには、より慎重な対応が必要なのです。