突発性難聴は文字どおり前触れもなく突然生じる難聴です。50代から60代に多い病気ですが、原因は不明のため西洋医学的な治療も難しい病気です。しかし発症直後が大切であり、治療で速やかに回復するケースもあります。逆に難聴状態が2週間以上経過してしまうと改善は難しいとされます。
突発性難聴の原因としてはウイルスが関わっていることが考えられるため、体の免疫力を保持すること(疲れをためない、ストレスを抱えこまない)がこの病気の発症を予防するために重要でしょう。
さて中医学的に耳の疾患を考える時、五臓の「肝」と「腎」について考慮することが重要です。「肝」はストレスによって、そのバランスを崩します。そして「肝」の「火」が上昇して、一定の範囲を超えてしまうと耳を侵すと考えます。また「腎」は「耳に開く」と言われている通り、「腎」の不調は耳に疾患をもたらします。
よって「肝」の「熱」を鎮める「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」というお薬や、「肝」と「腎」のケアをする「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」が突発性難聴の症状改善に使用されます。
ただし、突発性難聴の場合は、突然に耳が聞こえなくなるという症状であり、この場合は「風熱(ふうねつ)」による影響を考えねばなりません。外部からの「風熱邪」の侵入で耳に影響を及ぼし、突如症状を引き起こすと捉えます。この場合は「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」というお薬を用いることが多いでしょう。「天津感冒片」は中耳炎の症状にも用いることがあるお薬です。
このように「突発性難聴」という一つの病気であっても、使用するお薬は様々で、漢方的にみた体質に合わせて薬を選択することが重要です。一度ゆっくりと漢方専門薬局でご相談ください。
突発性難聴は再発しない病気と言われていますが、耳鳴りなどが残ったりする場合もあります。体のケアも含めて治った場合でもしばらく漢方薬を服用することをお勧めします。
突発性難聴と漢方
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「痛風と漢方」