胃下垂の女性が増えているようです。胃下垂とは胃が正常の位置より下がった状態を指し、胃を支える筋肉が弱いために起こるとされています。近年はやせている女性が増えたため、筋肉量も低下し、胃下垂となる方も増えているのでしょう。
レントゲンですぐに診断は下されますが、病院の薬で根本的に治すものはなく、消化剤などで様子を見ることが一般的です。しかし「お腹の張り」や「胃部の不快感」などがあると非常に気になりますし、少し症状が良くなっても、またすぐに再発することが多いという特徴があります。
一方、子宮下垂は胃が子宮にと臓器が変わっただけですが、加齢によって症状が出ることが多い病気です。重症になると子宮が膣から出てしまう「子宮脱」となり、不快に感じるばかりか日常生活にも支障をきたします。また軽度の子宮下垂の状態であっても高齢の女性に多い「尿漏れ」と関係していると考えられています。手術で治療できますが、症状の程度が軽ければお薬を出されることもなく様子を見る場合も多い病気です。
漢方で胃下垂や子宮下垂は、体に「持ち上げる力」が無いために起こると考えます。一見全く違う病気のように見えますが、漢方では同じような原因と捉えるのです。
「持ち上げる力」は、中医学で云う「気」がその機能を担っているとされます。よって「気」を補うお薬を服用し治療します。また、「上昇」の性質を持つ「柴胡(さいこ)」などの生薬の配合された漢方薬を飲むことも重要となります。第一選択薬は「柴胡」の配合された「補気薬」である「補中益気丸(ほちゅうえっきがん)」ですが、すべての方に適用となる訳ではありません。その他の体質などを見極めて慎重にお薬を選んだ方が良いでしょう。
胃下垂であっても子宮下垂であっても、「気」が充実していることが症状の改善につながります。そのためには消化の良い食事をしっかりと食べ、睡眠を十分に摂ることが必要です。そうすれば「気」が満ちて、臓器を持ち上げるための力が備わっていくことでしょう。漢方薬と生活養生で、胃下垂や子宮下垂を克服しましょう!
胃下垂、子宮下垂と漢方
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