シェーグレンと漢方.jpgシェーグレン症候群は難病指定されている自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、自分の体を異物として誤って認識してしまい、免疫機能が自己細胞を攻撃することにより引き起こされる病気のことです(いわゆる膠原病)。シェーグレン症候群の場合、唾液を分泌する細胞が攻撃を受けてしまうために、口の乾燥感やドライアイが症状として現れます。30代以上の女性に多い病気であり、原因はわかっていません。
シェーグレン症候群は重い関節炎や肺炎、血管炎などに移行する場合もあり、その際はステロイド剤などによる治療が必要となります。自己判断せずにまずは病院での治療を優先すべきでしょう。
しかし症状が落ち着いている場合や、程度が軽い場合には漢方での対処を考えても良いでしょう。ステロイドを大量に長期間投与をしなければならない状態は、体に負担をかけることは間違いありません。漢方で体質の改善を図ることも検討して下さい。
シェーグレン症候群は、口の渇きや目の渇きなどの症状を特徴とします。これらは漢方的には「津液(体に必要な水分)」の不足によって生じていると理解します。さらに微熱などの症状も伴いやすく、「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる、”体液不足によって生じた熱状態”であると捉えます。
よって”体液”を補充しながら余分な”熱”を取るお薬を服用することにより、体質の改善を図ります。具体的には「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」や「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」「香西洋参(しゃんせいようじん)」「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」などのお薬を選択することが多くなるでしょう。これらのお薬は体内に「陰」すなわち体を潤す成分を補充しますので、体内の渇きが収まっていきます。
ただし原則としては上記のとおりですが、その方の体質によって適するお薬は違います。現在服用している病院のお薬の情報を加味しながら、漢方専門薬局で十分にご相談頂くことが重要です。
なお基本的に「陰虚」体質の方は睡眠をしっかり取ることが極めて重要です。「陰虚」傾向が強まると「不眠」になる方も多いのですが、様々な工夫をして質の良い睡眠を取るようにしましょう。不眠傾向が強い方はまずその改善を目指しての漢方薬を選択する場合もあります。
シェーングレン症候群は難病とされますが、予後は良好と言われています。あまり怖がりすぎずに前向きに病気と向き合っていきましょうね!