むくみは漢方相談を受けることの多い症状の一つです。西洋医学的には心機能の低下や腎機能の問題が関与しているケースなどがあり、あまりにもひどいむくみが続く場合や急にむくみがひどくなった場合には一度診察を受けるべきでしょう。また最近では手術後に見られるリンパ浮腫と呼ばれる深刻なむくみに対しての対処が問題となっています。
しかし一般的にむくみの原因は不明の場合が多く、対処法としても利尿剤が出る程度でしょう。むくみ自体が生死に関わるだけでないということもあり、”様子を見る”ように支持されることもあるかもしれません。しかし、特に女性に多いむくみは、美容の面からも深刻な悩みとなる場合があります。
漢方の理論で考えると、むくみはやはり”水”が関与するとします。その”水”の停滞がむくみを生じさせます。そしてその停滞を生む要因を取り除くことがむくみの漢方的対処法となります。
しかしその要因は人それぞれであり、一口にむくみと言っても多種多様の対処法、適用薬があるのです。その見極めが非常に大事であり、間違えてしまうと悪化することは無いにせよ、改善はなかなか見られません。また、何年間も続いているむくみに対しては、根気強く治療を続ける必要があることは理解して頂きたい点です。
簡単に整理するとむくみが生じる原因は大きく分けて三つに分けられます。
1)”肺”の問題
漢方では”肺”が水の流れを調節していると考えます。この”肺”機能が弱ると、特に上半身の水の流れが停滞してむくみが生じると考えます。特徴としてはどちらかといえば一時的なむくみで、顔やまぶたなどにその症状が出やすいとされます。「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」などの漢方が用いられます。
2)”脾”の問題
“脾”とは胃腸機能のことであり、その部分が弱ると水の運搬機能が停滞してむくみが起こると考えます。この場合のむくみは全身に起こりますが、手足だけのケースもあるでしょう。体全体が重く感じ、下痢となる場合もあります。「五苓散(ごれいさん)」などの漢方が主に用いられます。
3)”腎”の問題
もっとも厄介なケースで、長期間続いているむくみの場合は、この”腎”に対する対処を考えねばなりません。中医学で”腎”は体内の水分を尿に変える働きを担うとされますが、その力が衰えるとむくみになると考えるのです。この場合は特に下半身にむくみが起きやすく、尿の減少も伴います。「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」などのお薬で対処することが一般的です。
以上3つの要因が混在する場合もありますし、血行の問題などが関与しているケースもあります。その判断は簡単ではありません。漢方薬局などでゆっくりと相談して服用するお薬を決め、出来るだけ早くむくみとサヨナラしましょう!
むくみと漢方
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「更年期対策の漢方」