飛蚊症(ひぶんしょう)は、文字通り、視野の中に蚊が飛んでいるように影が動いて見える症状です、その影は、点のこともあれば、網状のケースもあります。糸くずやクモの巣が目の中で動いているように見えると例えられる通り、生活の質に大きな影響を与えます。とはいえ、程度の差があり、軽症であれば慣れてしまうこともしばしばです。
西洋医学的には眼球のガラス体の混濁が原因とされます。しかしぶどう膜炎など炎症が原因の場合や網膜剥離などの重要な病気が潜んでいる場合もあり、まずは眼科で診断をうけることが重要です。特に突如明確に発生した飛蚊症の場合は、早めの精密検査を受ける必要があります。また糖尿病による網膜症から引き起こされるケースもあり、その場合には糖尿のケアも考えなければならないでしょう。
しかし加齢によって起こった飛蚊症であれば、眼科では「年だからしょうがないですね」と言われておしまいとなってしまうでしょう。とはいえ特に比較的若い年齢で起こってしまった場合には、このまま一生飛蚊症とつきあっていくのかというと気が滅入りますし、年配の方であったとしても何か対処があれば、というお気持ちは出てくると思います。
物理的な変化に伴う現象が原因であるため、一度起こると改善がなかなか難しいことは確かにありますが、漢方であれば対処の方法が無いわけではありません。その場合には飛蚊症という病名だけにとらわれずに、一見関係のないように見える全身の症状も考慮して、体質判断していくことが重要です。
さて中医学で飛蚊症を考えた場合には、もっとも重視すべきは”陰”の概念です。”陰”とは体の潤いであり、飛蚊症の原因であるガラス体の主要成分であるコンドロイチンとも関係が深いと考えられます。よって、この”陰”を体に補っていくことが基本的に重要であり、その上で五臓六腑の考え方も組み合わせて対処方法を検討します。もっとも良く使われる処方は「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」であり、飲む目薬とも言われる漢方で、”陰”を補う力に優れています。特に蝋丸タイプは即効性も期待出来、効き目も鋭いようです。
その他、血行の問題も絡んでいることもあるため、違うお薬が選択されることもあります。年齢や、発症の経緯などに依っても大きく異なりますので、漢方薬局でゆっくりとご相談下さい。飛蚊症が生じてから時間が経つと、だんだんと改善も難しくなるため、早めに対策を立てることが重要です。
なお”陰”の問題を考える時にもっとも重要であるのが睡眠です。睡眠は”陰”を補う作用があるためです。また、目の修復の時間をもたらし、休める時間を多く取るためにも、十分な睡眠が必要です。この点を理解しながら漢方薬を服用すると改善も早くなるでしょう。
飛蚊症と漢方
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