平成14年度に行われた調査によると、糖尿病患者は日本全国で740万人、予備軍を含めると約1600万人。国民の7人に1人の割合になりますので、糖尿病はかなり身近な生活習慣病と言えるでしょう。
まず糖尿病という病気についてですが、その名の通り、多くの場合、尿に糖が検出されます。これは、体の中で処理しきれなくなった糖が、尿から排出されていることを意味します。すなわち体に糖が溢れているのです。
そして余分な糖は主に血液中で悪さをします。簡単にいえば血行などの循環を阻害するため、特に毛細血管がダメージを受けます。よって、網膜症や脚の壊死などを引き起こすと考えられています。
ここでのポイントは、糖尿病自体は特に体に障害を起こすのではなく、それによる合併症が怖いということです。糖尿病と診断されても、上記の病気のほか、神経障害や腎症などが起こらなければ、基本的に健康な人とさほど変わりません。自覚症状もほとんどないのです。だからと言って放置すると様々な命にかかわるような病気になることが分かっています。
「大きな問題も無いのになぜ薬を飲んだり食事制限しなければならないのだろう」と考えるのはもっともです。しかし糖尿病はまさに中医学で云う「未病」状態。この段階で食い止めて、大病を防ぐことが重要なのです。
さて糖尿病と言っても、現在は血液中の糖の量を測定して判断を行います。血糖値と呼ばれますが、この値は食事等に依り大きく前後しますので、今ではHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という値を重要視します。この値は過去3カ月ほどの体内の糖量を推測することに役立ち、値は食事条件に依ってもそれほど変化しません。このHbA1cが5.8%以下であれば正常で、6.5%以上となると要注意になります。
さて糖尿病を中医学で考えていきます。中医学は自覚症状に基づいて体質判断を行うため、糖尿病の方に起こりやすい症状から、どのタイプに属するかを考えていきます。そして、口が乾き、疲れやすいなどの特徴から「気陰両虚(きいんりょうきょ)」と呼ばれる体質がもっとも糖尿病に近いと理解されています。
この「気陰両虚」体質とは「気」と「陰」が不足した状態であり、すなわちエネルギーと潤いの欠如です。この体質が糖尿病につながっていく、と考えられているのです。
よって対策としては「気」と「陰」を補う漢方薬である「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」などを使用します。
また糖尿病の方は血液中に過剰な糖が存在してドロドロ状態となっていることは間違いなく、その場合には中医学で云う「お血」と捉えます。よって「お血」対策のために「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの血行を良くするお薬を服用すると良いでしょう。ちなみに糖尿病が起こる原因の一つは運動不足と言われており、この運動不足は「お血」を引き起こす非常に大きな要因となります。どうしても運動をする時間の取りずらい方などは「お血」対策をしっかりとすべきでしょう。
以上が中医学的に考えられる主な糖尿病の要因ですが、ストレスが絡んでいたり、複雑なケースも多くあります。しっかりと漢方の専門家に判断を仰ぎ、ご自身でも納得した上で、お薬を服用しましょう。
私は糖尿病を治すためのもっとも大切な要素は「根気」だと思います。自覚症状が少ないとついついお薬などもさぼってしまいがちになりますが、長い目で見て無理なく続けられるように、ご自身なりの対策を考えてみて下さいね。
糖尿病の漢方薬
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