頭痛で悩んでいる方は多く、日本人の4,5人に一人は頭痛持ちとも言われているそうです。頭の痛みが起こると生活上不便を生じることはもちろんですが、「血管が切れてしまうのではないか」と言った不安感にもつながり、深刻です。
絶対に病院に行かなければならない頭痛は、非常に強い痛みが突発的に起こった場合や、急性的な吐き気やしびれが伴う場合です。脳血管の物理的な問題で起こっている頭痛は一刻も早く病院での検査と処置を優先させることは当然でしょう。
一方で慢性の経過をたどる頭痛に関しては、対処が異なります。いわゆる片頭痛と呼ばれる頭の一部だけが痛む場合や、精神的ストレスなどが主な原因となる緊張性頭痛などの場合は、すぐに病院を受診しなければならないということはありません。実際に頭痛持ちの多くの方はバファリンなどの市販薬で一時的な痛みを和らげているようです。また病院で診断を仰いだ場合には、イミグランのような片頭痛治療薬や、デパスなどの抗不安薬を処方されることもあるでしょう。
ただしこのような対処は基本的に一時しのぎでしかありません。確かに頭痛が強い場合などは我慢し過ぎずに痛みどめを服用することが肝要です。とはいえ、根本解決を図らなければ必ず再発し、鎮痛剤を使うことになります。そして鎮痛剤は胃に負担をかけて体を傷めるため、出来る限り使わない方が良いのです。「胃薬と併用すれば大丈夫」と考えている方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、決して害がゼロになる訳ではありません。
しかし頭痛が起こる基本的な原因もつかみきれていない現状では、発作が起きないような体質に変えていくための西洋医学的手段はありません。よって漢方の出番となります。
また西洋薬で治まらない頭痛も存在しますが、その場合にも漢方薬が有用となるケースがあります。
一口に頭痛と言っても漢方的な原因は千差万別です。以下タイプ別に頭痛の原因と対処方法を挙げてみました。
1)お血タイプ…漢方的な頭痛の原因としてまず挙げられるのが「お血頭痛」です。「お血」とは血行不良のことで、いわゆる血液ドロドロ状態です。血液がドロドロになれば血管に負担がかかり痛みが生じるとされます。ズキズキと血管が脈打つように、比較的強い痛みが生じます。
このタイプには「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの血行を改善する漢方薬が有用です。
2)気虚タイプ…女性が中心ですが、働き者の男性にも多いタイプです。「気虚」とはいわゆるパワー不足であり、エネルギーを大量に消費する”脳”に「気」が満たされていないために痛みを生じます。疲れた時に起きやすいという特徴があります。
このタイプには「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの「気」を補うお薬を使用します。
3)気滞タイプ…ストレスでいつもカッカしているような方に起こりやすいタイプです。「気滞」とはエネルギーの巡りが悪い状態であり、頭に血が上った形となり痛みを感じます。片頭痛となることが多く、高血圧や目の充血などを伴うことも多いでしょう。
このタイプには「釣藤散(ちょうとうさん)」などの「気」を”下ろす”漢方薬が役立つことが多いとされます。
4)腎虚タイプ…比較的高齢の方に多いタイプです。「腎」とは生命力に関与した部分であり、その消耗に依り頭痛が生じると考えます。慢性化しやすく、市販の頭痛薬も効かないケースが多い頭痛です。冷えやめまいを併発することも多々あります。
このタイプには「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などの補腎薬が合いますが改善には時間がかかる場合もあり、そのような時には「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」で冷えに対処すると比較的短期間で痛みが和らぐでしょう。
その他にも頭痛にはいろいろなタイプがあります。またタイプが混在しているケースも見受けられます。「頂調顆粒(ちょちょうかりゅう)=川キュウ茶調散」などの比較的短時間で痛みを抑える処方と、上記のような体質改善で頭痛の予防に役立つような漢方薬を上手く使い分けることによって様子を見ていく方法も考えられます。
しっかりと体質判断を行って根気強くお薬を服用していけば、きっと症状は軽減します。ぜひ痛みとは無縁な生活を目指してみて下さいね。
頭痛と漢方
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「動悸の漢方的原因」