むずむず脚症候群は、就寝中、主にふくろはぎに虫がはっているような、文字通り”むずむず”感を覚える疾患です。日本人の1%以上(100万人以上!)にみられる症状とされますが、直接命に関わる疾患で無いためか、認知度はそれほど高くないようです。
レストレスレッグ症候群とも言われますが、手元にある書籍でも「不眠」の項目に保険適用外の薬の処方例がある程度で、詳しい記述はありません。原因に関してはいくつかの説があるようですが、明確に結論は出ていない状態です。
ただ、このような症状が夜間に起きると睡眠障害となることは間違いありません。生活の質を下げる症状は軽視せず、出来る限り早めに治すべきでしょう。
また、症状が起きる要因が体の中にあるはずで、その要因を放置しておくと、思わぬ大病につながる可能性もあります。体の異変は、体が発しているSOS信号。西洋医学的に有効な対処法が明確でない現状、漢方的な対策で体のバランスを取り戻しましょう。
さて、むずむず脚症候群の特徴をまずは挙げてみます。
1)就寝時、主にふくろはぎに生じるむずむず感、痒み
(体を動かすと症状は治まる)
2)無意識の中で、足を蹴るように動かす
3)不眠
4)昼間の疲労感
また、女性に多く、妊娠中だけこの症状が生じる方もいらっしゃいます。
このような特徴から、中医学的な原因体質を検討してみると、まずは「血虚(けっきょ)」が疑われるのではないでしょうか。「血虚」とはいわゆる「血」の不足であり、貧血よりもう少し大きい概念を持ちます。
「血」が不足すると「心」が落ち着かずに不眠となります。また、「血虚風盛」と言って、「血」不足で体内に「風」が生じ、痒みやむずむずした不快感を生じさせると考えます。
よって、「当帰飲子(とうきいんし)」という「風」を除去しながら「血」を補う処方がまずは検討されます。また状況に依っては「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」でしっかりと「血」を補えば状況が改善される場合もあるでしょうし、こむら返りに効くとして有名な「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が適するケースも考えられます。
なお「血虚」からさらに進んで「陰虚(いんきょ)」状態でも、上記症状が起きやすくなります。「陰」は体を冷やす物質で、その不足が「陰虚」ですから、むずむず感と同時にほてりが出やすくなると要注意です。
このような場合には「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」や「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」などの漢方薬の方が適するでしょう。
その他様々な体質が絡んで、むずむず感を引き起こしている場合が多く、一筋縄ではいかないケースも想定されます。しかし、中医学で理論的に症状を説明することが出来る疾患です。不快症状とサヨナラするために、ぜひ一度漢方薬の服用を試してみて下さいね。
むずむず脚と漢方
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「汗かきと漢方」