汗かきで悩んでいる方は多く、男性女性問わず、異常な汗かきの場合は生活上不便をきたします。逆に汗をかかなくて困ると言う方もいますが、どちらかといえば多汗の方がより問題になります。
「恥ずかしい」「お化粧が大変」というような外見上の問題から、「着替えが面倒」「臭いが気になる」など、様々な心配が発生します。
西洋医学的には多汗の背景に病気が隠れていることもあり、急に汗の量が増えた場合などは医師の診察を受けても良いかもしれません。しかし、汗は健康な人でも暑い日には出る生理現象ですから、どの程度から異常とするのか判断基準が難しくなりますし、原因が明確になる場合の方が少ないと思われます。
しかし漢方においては汗は大事な役割を持つ物質という認識が古くからあり、汗が出る理由や出ない理由も明確にされています。もちろん、体質の問題であると改善までには時間がかかりますが、一度漢方薬の服用を検討するに値すると感じます。
さて多汗の原因を考える前に、漢方では汗をかく時間帯を重要視するという点を理解しましょう。
まず、昼間にかく汗は「自汗」と呼ばれます。暑さや仕事の状態に関わらずに汗が続く状態を指します。
そして夜間にかく汗は「盗汗」と言います。いわゆる寝汗です。
原則として「自汗」は「陽」の不足が、「盗汗」は「陰」の不足が原因とされます。「陽」とは体を温める成分ですから、「陽」が不足をしている「陽虚」の方は原則冷えがあるはずです。逆に「陰」は体を冷やす成分ですから、「陰」不足の「陰虚」の方は体がほてったり、微熱が出たりする傾向があります。
よって「自汗」タイプの方は、「陽」の「気」を補う処方である「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」などを服用すると良いでしょう。一方で「盗汗」タイプの方は「陰」を補う「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」や「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」の服用が良いと思われます。
ただし、複雑に体質が絡んでいるケースも多く見られ、特に「湿(体内の余分な水分)」の存在に依って多汗症状が起きている場合があります。そうなると上記の薬だけでは足りず、「湿」を除く漢方薬である「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」などの併用が必要となってきます。さらには「自汗」も「盗汗」も見られ、汗が半身だけに顕著なケースなどは、さらに込み入った原因が考えられます。
また汗を大量にかくと、一緒に様々な物質も体外に排出されてしまいます。よって、疲労などの原因にもなってくるとされます。そうなると悪循環となる恐れもありますので、早めの対策が肝心です。
いずれにせよ、「このお薬を服用すれば多汗が治る」と一つのお薬をお勧めすることは出来ません。様々な情報を分析して、体質判断を行い、その体質に適した漢方薬を服用していきましょう。
なお汗腺を引き締める作用を持つ、酸っぱいものは出来るだけ多く摂ることが出来るといいですね。
汗かきと漢方
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