不整脈は規則正しく血液のポンプを機能させている心臓が、不意に不規則な動きをしてしまうことによって起こる疾患です。これは心臓の血管の問題ではなく、不秩序なリズムが生じたことによる問題であり、いわゆる神経系統の異常によって起こる症状であると考えられます。心臓は1日に10万回近く鼓動します。そのうちの何回か”失敗”してしまうのが不整脈と言えるでしょう。
不整脈を持っている方は多く、どなたでも年を重ねると不整脈が起こりやすくなってきます。また体質的に子供の時から不整脈があるケースも多々ありますし、ストレスや疲労によって一時的に引き起こされることも良く知られています。
もちろん不整脈は命にかかわることもある病気ですから、あなどることは出来ません。以下のようなケースは病院での速やかな治療が必要です。
※失神する、またはいきなり意識が遠くなる
※脈拍数が150以上など、極端に早くなる
※脈拍が40以下など、急に遅くなり、息切れなどを伴う
しかし、不安やストレスで脈が早くなったり、飛んだりするケースや、症状が特になく心電図等で指摘されるケースなどは、早急な対応が必要という訳ではありません。また高齢と共に生じることが増えた不整脈で、心臓に異常が見当たらない場合も、致し方ない体の老化の一種とも言えます。
とはいえ病院で「不整脈ですね」と言われると心配になりますよね。過度に怖がる必要はなくとも、やはり体が発している信号の一種です。身体のケアを考えてみてはいかがでしょうか。
また、病院で抗不整脈薬を服用している方も、長い期間の服用は副作用等が気になるケースもあると思います。このようなケースでは漢方という選択肢も検討してみましょう。
さて漢方では「脈診」という診察方法があり、当然のことながら不整脈も病態として定義されています。促脈、結脈、代脈と呼ばれる脈の状態があり、どれも不整脈と言ってよいと思います。
一般的には下記のように言われます。
促脈…脈が早く、時々不規則に途切れる状態。「気」や「血」の流れが悪い。熱証。
結脈…脈が遅く、時々不規則に途切れる状態。「気」「血」の不足。寒証。
代脈…規則的に脈が飛ぶ状態。「心」の「気」の不足。
このように同じ不整脈でも様々な状態があり、診断が異なります。もちろん適する漢方薬も変わってきます。
ただ私の印象としては、重篤でない不整脈の場合には「気」の不足である「気虚」のケースが多く、「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」という漢方薬などが適応となる場合が多いように感じます。また、女性の方の場合には「血」の不足の「血虚」も多々見受けられ、その場合には「血」の流れ対策にも同時に対処できる「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」「帰脾湯(きひとう)」等が適用となるケースもあります。
いずれにしても漢方薬局でしっかりと判断をしたうえでお薬の服用を始めましょう。身体が楽になりますよ。
不整脈
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