しびれと漢方.jpg正座をしたあとの足のしびれ、寝ている時に圧迫されての手のしびれなど、しびれという症状は、誰しも一時的には体験したことがあると思います。よって、それが理由もなく起こり、ずっと続くようになるととても不快であるということは、想像に難くないことでしょう。
私も「なぜ?」という手のしびれを少しだけ経験したことがあるのですが、不快な気持ちはもとより、「何か体に起こっているのでは?」と不安になります。しかも、手のしびれやふるえは日常生活に不便をきたします。
しびれは脳血管障害に関係した症状である可能性があります。お箸を上手に使えないなどの状態であれば、迷わず病院で検査を受けましょう。
しかし医学的に「本態性」と呼ばれる、原因不明のしびれが多いとされています。何らからの神経伝達異常であることはほぼ間違いないとしても、なぜそれが起こるのかという理由は明確に分からないのです。よって、「自律神経失調症」と診断されることもあるでしょう。
前述したように、しびれは生活の質を低下させます。字が書けない、食事の時にこぼしてしまう、携帯電話のメールが打てないなど、問題ない時には想像出来なかった不便さが生じるのです。
このように悩んでいる人は多くとも、生死にかかわる病気ではないためか、研究が進んでいるとは思えず、西洋薬で多少症状は抑えることは出来ても、根本解決にはならないのが現状です。
そのような時こそ漢方での対策を考えてみましょう。
中医学の理論では、主に「風寒湿」の邪気によって、気血の流れが滞った時に起こると考えます。特に多いのが「お血」に依るものです。「お血」とはいわゆる血行不良であり、正座などのしびれも物理的な血流阻害が原因ですから、「お血」があればしびれが生じることも当たり前とも言えます。
また慢性的なしびれの要因として多いのが「血虚」に依るもの。「血虚」とは「血」の不足であり、高齢になると生じやすい体質でもあります。「血虚」が原因で「お血」となり、しびれを生じさせているケースが多いと思われます。
よって、特に「風」の邪気を追い払い、「血虚」に気を付けながら「お血」対策を行っていく方針がしびれ対策の基本となってくるでしょう。
具体的には「疎経活血湯(そけいかっけつとう)」や「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」といった「活血薬」と呼ばれるお薬が候補となります。
しびれは慢性的になればなるほど、改善が難しくなります。しかし普通の方は、多少のしびれは我慢し、日常生活上で不便が生じるころに病院に行き、そこで根本的に治らないので、漢方を…となります。
出来れば、初期のしびれが起き始めた段階で漢方で対処できれば一番です。しびれは様々な病気の兆候とも言われますが、これは「お血」が万病のもとであると言われている点と一致します。
しびれが起こったときは「お血」悪化のサイン。早めの対処を心掛けましょう。