最近さらに普及が進んで来ている胃カメラや、大腸カメラを用いた内視鏡検査。やはり直接組織を見ることが出来るというメリットは大きく、カメラの小型化など機器の進歩も相まって、治療を受ける方が増えているようです。場合によっては、検査をしながら治療を出来るという便利な面も、普及を促していると言えるでしょう。そしてこの内視鏡検査の際に見つかることが多いポリープ。良性のできものであり、検査後に「取っておきましたから」と告げられることもあるようです。
ポリープは、大腸や胃の組織に出来る、おできやイボのようなものであり、形状等によって細かな分類があります。ポリープ自体は悪性ではありませんが、何年も経過するとがんになることもあるとされますので、特に2センチ以上の大きいポリープは切除をする方が望ましいと考えられています。
たくさん出来る方も多く、内視鏡検査のたびに何個も切除するようなケースもあります。
どれほど良性と言われても、ポリープが出来やすい体質となると、がんになる可能性も高いように感じられ、心配になりますよね。ポリープも”異物”と考えられますから、出来ないにこしたことはありません。胃のポリープにはピロリ菌が関係しているタイプもあるため、その場合には除菌が有効な予防手段になりますが、多くの場合にはポリープが生じる原因は不明であり、医学的に予防法がないのが現状です。よって、養生も含め、漢方的な視点からポリープが出来やすい体質の改善に取り組んでみても良いのではないでしょうか。
漢方ではポリープのような”異物”は、「痰湿」と呼ばれる体の中の不要物であるという捉え方をします。この「痰湿」を生み出しやすい体質としては、「脾気虚」と呼ばれる胃腸機能の弱さがあると考えます。すなわち、胃腸機能の低下、もしくは胃腸への継続的な負担が、身体の不要物である「痰湿」を生じさせ、ポリープになっていく…という流れが考えられるのです。
よってポリープが出来やすい方の対策としては「脾気虚」の改善と「痰湿」除去が大きな柱となります。具体的には「健胃顆粒(けんいかりゅう)」や「星火健脾散(せいかけんぴさん)」などの、胃腸を元気にさせる漢方薬や、「晶三仙(しょうさんせん)」など消化を助けるもの、「シベリア霊芝」「星火温胆湯(せいかうんたんとう)」など、「痰湿」を除去する漢方を検討します。
そして、胃腸機能を守るためには、消化吸収の良いものをバランスよく食べ、冷たいものや生もの、油っこいもの、お菓子類などは避けることが肝心です。またリラックスを心がけることで、胃腸機能の負担も減らせます。
このような漢方的対策を続けていくことで、ポリープが出来やすい体質改善につながる可能性は大です。とはいえ、やはり専門的な体質判断も重要です。気になっている方はぜひ漢方薬局で相談をしてみて下さいね。
≪参考図書;今日の治療指針(医学書院)≫