やや感染拡大が落ち着いている新型コロナウイルス感染症。それでも日本ののべ感染者は本日2020年9月17日現在で78000人強、世界では3千万人を超えてきました。
最近はデータも蓄積され、少なくとも現在の日本での状況はそこまで恐れることは無い感染症、という意見が多くなっているように感じます。
今までもカゼは「万病のもと」と言われ、油断すると肺炎というケースは見られていましたが、その悪性度が高い、やや特殊なウイルスタイプであるという認識が主流ではないでしょうか。

さてこれから何年かかけて、新型コロナウイルスは普段のカゼの原因ウイルスの一つになっていくことも予想される中で、その後遺症が注目されています。米国医師会雑誌に掲載された論文によると、イタリアの退院患者143人のうち、初めに症状が出てから平均二か月後でも、疲労を感じる方が53%、呼吸困難が43%、関節痛が27%、胸痛が22%などの症状を訴えたとのことです(複数回答あり)。また、肺炎が重症化したのち回復した患者には、認知症やうつの症状が出やすいという論文もあり、新型コロナウイルスも同様の結果となる可能性があります。

ただし、そもそも肺はとてもデリケートな臓器であるため、一時的でも傷めるとなかなか回復は難しくなります。よく「カゼをこじらせた」と言いますが、肺機能の低下が長引いてしまった状態はよく起こりうるとも言えるのです。よってこれらの後遺症症状は、新型コロナウイルス感染症に特異的であるとは言えないかもしれません。
とはいえコロナウイルス感染であっても、そうでなくとも、後遺症が無いにこしたことはありませんので、今回はその症状の特徴から、漢方的な対策を考えてみたいと思います。

まず疲労についてですが、新型コロナウイルス感染症の特徴から、中医学で云う「湿」が関係している可能性が高いと思われます。「湿」が体に残ると、重だるく感じます。この「湿」が関係する症状には息苦しさや関節痛、胸痛も考えられます。逆に言えば、後遺症の上位を占める症状はほとんど「湿」に依るものではないかとも想像できます。さらには、発症後のうつも、「湿」が原因で気持ちが塞いでしまっているケースが考えられます。この場合には「湿」を除くとされる漢方薬である「かっ香正気散(勝湿顆粒)」の適用がもっとも良いように思われます。
また「肺気虚」すなわち「肺」の力が弱くなってしまった状態である可能性もあります。力不足ですから、疲労感や息苦しさの他、やる気が出ないといったうつ症状にもつながります。このような場合は「肺気」を高める「生脈散(麦味参顆粒)」が良いとされます。
さらには、関節痛、胸痛などは「お血」が関係しているとも考えられます。いわゆる血行不良状態で、前述した「湿」と同様に、新型コロナウイルス感染症の重症化要因の一つであると個人的に考えています。そして、この「お血」は認知機能低下に関係しているとされるデータもあります。

以上はあくまで私見ですし、患者さん一人一人で症状、体質が変わる以上、最適な答えも異なります。しかし、もし今後コロナウイルス感染やそれと似た症状が収まったあとに後遺症が出てしまった場合は、漢方という選択肢があるということをぜひ覚えておいていただくと良いと思います。