呼吸と漢方.jpg私たちが日々無意識のうちに繰り返している呼吸。当たり前のことですが、呼吸が止まれば死んでしまいます。それなのに、我々は呼吸について軽視しがちな気がします。最近は「空気が美味しい」と感じる機会も少なくなり、胸いっぱいに空気を吸い込んで、気持ちよく吐き出す機会が減ってしまっているからかもしれませんね。
呼吸についての相談もほとんどありません。確かに呼吸で悩んでいるという話はあまり聞きませんよね。しかしながら、まれに「息が吸い込みずらい」「息苦しい」「息切れがする」などを訴える方はいらっしゃいます。これらの症状がひどいと肺炎などの可能性が高く、まずは病院となります。しかし慢性的であれば、漢方を試してみる機会はありそうです。
また一見呼吸とは全く関係ない症状を持っている方や、健康な人であっても、呼吸を整えると体の状態が良くなります。それほど呼吸は重要なもの。この機会にぜひ呼吸を見直してみましょう。
さて、まずは中医学での呼吸の考え方を勉強してみます。呼吸の第一段階は空気中にある「清気」を「肺」に取り込むこと。食事では食べ物が持つ「穀気」を取り込むわけですが、「清気」にもまたこの世界の「気」が含まれていると考えるのです。酸素という物質だけでなく、「パワー」も体に取り込むのです。
そして次に「濁気」と呼ばれる使用した「気」を吐き出します。
この一連の過程で取り込まれた「清気」が、食べ物の「水穀の精微」と合わさることによって、体を動かす「気」が出来上がるのです。どうしても食事ばかりに注目が集まりますが、人間の健康を担うものとして、呼吸も同じように大事な要素なのです。
それでは気功でも行われる、一番基本的な呼吸法を覚えましょう。
1)立った状態で身体の力を抜き、手のひらを上にしておへそのあたりに両手を添えます。お腹を抱えるイメージです。
2)5秒以上かけながら、鼻からゆっくり息を吸い込みつつ、両手をそのままの形で胸あたりまで上げます。
3)「シー」と声を出しながら息をゆっくり吐き出します。この際、手のひらを下に返して、おへそまで下げていきます。
4)この動作を10回繰り返します。
コツは吸い込む時よりも、吐き出すとき。ゆっくりと全部を吐き出してしまいましょう。今回は分かりやすく吸い方を先に書きましたが、吐くことを最初に意識すべきとされます。
もちろんこのような呼吸を空気のキレイな場所で行うことが一番です。家の中より外の方が良く、街の中より自然がある場所がベストでしょう。
呼吸は奥が深く様々な流派や考え方がありますが、基本的にはゆっくりと空気を吐いて、気持ちよく空気を吸うことかなと思います。難しく考えずに、まずは朝一番の深呼吸から始めてみて下さいね。