高齢不妊と漢方.jpg時代とともに女性が結婚する年齢は上がり、今や28歳が平均となっているそうです。しかし医学的にもっとも妊娠しやすい年齢は20から25歳と言われています。多くの女性が30歳前後から生殖能力の衰えが始めることをあまり深く意識していないため、ややのんびりと妊娠について考えている傾向があります。
統計としては20代の女性の不妊率は8%、30代前半は15%、30代後半は22%、40代前半は29%とされています。
しかしこの数字だけ見ると、40代前半の方で7割の方が妊娠可能と言えます。「仕事に明け暮れていつのまにか40代…ただやっぱり自分の赤ちゃんは欲しい」という方は多いものです。確かに残された時間は少ないですし、確実に授かるということも言えません。しかし、ここで今までいじめてきた体のお手入れをする意味でも漢方の考え方で妊娠の確率を高める対策を取ってはいかがでしょうか。
今まで仕事などに頑張ってきた女性を私は心から応援したいと思っています。
さて漢方の考え方で高齢での不妊を考えた時に、もっとも問題となるのが「腎」という部分です。漢方で「腎」は、生殖・成長に関わっている「生命力」の機能を持つと考えます。しかしこの「腎」は年齢とともに必ず衰えていきます。高齢での妊娠を考えるのであれば、腎の衰え=腎虚(じんきょ)は必ずクリアしなければならない問題であり、「腎」を補うお薬「補腎薬」の服用は欠かせません。具体的には「海馬補腎丸(かいばほじんがん)」や「参茸補血丸(さんじょうほけつがん)」、「オリジン(胎盤エキス)」「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)などの服用を検討します。
また年齢とともに血行の問題も出てきます。「お血」と呼ばれる血行不良状態ですが、この改善もポイントとなるでしょう。さらには今までの生活の疲れから全般的に「虚」すなわち「不足」の体質になっている方が多いようです。その場合も不足している成分を補っていく必要があります。
なお、慌て過ぎはいけませんが、時間が限られていることは間違いないので、現時点でもっとも妊娠の確率の高い漢方の服用法である「周期療法」も検討されると良いでしょう。
ちなみに男性も年齢とともに造精機能は衰え、精子の運動率は低下し、異常形態も増えるとされています。しかし70歳であっても妊娠能力があると言われ、女性ほど高齢によるデメリットは少ないとされます。とはいえ、年齢とともに妊娠の確率が下がることは間違いありません。
30代後半でも何となく体が衰えたと感じているのであれば、女性と同様に「腎」の問題と捉え、「海馬補腎丸」や「杞菊地黄丸」、「海精宝」と言った、「腎」を補うお薬を服用した方が良いでしょう。
参考図書;不妊ケアABC(医歯薬出版)