基礎体温高い不妊.jpg不妊の方の多くが一度は付けた経験があると思われる基礎体温。その測定のメリット・デメリットは以前のコラムで述べましたので詳細は割愛しますが、二層になっていればOKという訳ではありません。低い場合には体の冷えが疑われますし、逆に高い場合には体に熱がこもっている可能性があるのです。
私が考えるところでは、
★低温期が36度以下でおおまかな線が引けるようであれば、冷え。逆に36.6度を超えてくると”熱”。
★高温期は大まかな線が36.5度を超えなければ冷え、40度を超えてくるようであれば(特に41度超え)は”熱”。
と思っています(あくまで一つの目安です)。
ただし注意点は、体温計のクセというか性質によって、おかしい値が出る可能性があるというこです。あまりにも上記の値とかけ離れている場合には、体温計の購入又は変更も検討されるといいのではないでしょうか。
さて今回は基礎体温が高い場合について、テーマを絞って中医学的な対処法を考えていきたいと思います。
最初に申し上げた通り、体温は高ければ良いという訳ではありません。「女性は体を冷やすな」と言いますが、”熱”がある女性はさらに体を温めると大変なことになり、不妊の治療どころではありません。人間の体は十人十色ですから対処法も同じく様々な方法があるのです。まずその点を理解しましょう。
ではパターン別にみていきます。
★低温期のみ高い
低温期に高い理由としては「陰分」の抑えが効いていない可能性が考えられます。通常は「陽」の上昇を「陰」が抑える(制御する)とされています。しかし、そのバランスが崩れると「陽」すなわち”熱”が上がり、基礎体温を上昇させると考えます。
よってこの場合には「補陰」と云って、コントロールしている「陰」分の補給をします。そうすると「陽」が収まって来るのです。具体的には「六味丸(ろくみがん)」や「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」と云ったお薬を考えます。
★高温期のみ高い
この場合には、「肝火上炎」といってストレス等から余分な”熱”が発生していることが大きな理由として考えられます。この場合には”熱”を体外に出すことを考えなければなりません。
積極的に「瀉火」と云う方法で”熱”を追い出すために「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう」などの処方薬を使用します。または「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などで「肝」の「火」を抑えることも考えます。
★全体的に高い
この場合も”熱”の存在が第一に考えられます。「瀉火」作用を持つ「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」や”熱”除去作用に優れた「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」などを服用していきます。
状態にも依りますが、全般的に36.5度を下回ることがほとんどないというケースなどは、体を温める作用を持つ「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」も合わない可能性が高くなります。不妊に効果的であるとされる「婦宝当帰膠」ですが万人に合っている訳ではありません。
また、ホルモン剤などで不妊治療中の方も全般的に(特に高温期に黄体ホルモンを服用中の方)体温が高くなる傾向があるようです。最初から基礎体温が低い方は大きな問題が無い場合もありますが、基礎体温の上昇だけでなく、のぼせなどの不快症状が出たら要注意です。その状況に合わせてですが、適切な”熱”処理の漢方薬で対処しましょう。