検査で問題ないのになかなか授からない、体外受精で良い受精卵が出来ないなどという場合、とかく女性の卵の質を上げることを考えがちです。しかしよくよく考えると、受精卵は卵子と精子が合わさり形成されるものであり、卵子の質だけでなく、精子の質も問題となって然るべきです。精子の数値が基準内であれば良いという訳では無く、目には見えず、数値には現れない精子の質がキーとなっている可能性も高いのです。
では精子の質を上げるためにはどうすればよいかというと、静脈瘤などの物理的な問題が分かっている場合を除き、学問的にはっきりと効果が認められている方法はありません。しかし、漢方の考え方に基づき、精子の状態を良くするために、私なりの3つのポイントを上げてみたいと思います。
【1】節度のある性生活を心がける
これは赤ちゃんを望む前からの話になってきますが、自慰を含め性生活が過多の場合には「腎」が消耗してしまうと考えます。「腎」とは生殖力と関係する「臓」であり、その力が妊娠力と関係してくるのです。本来は、10代、20代の頃から気をつけて過ごすべきでしょう。
しかし過去に後戻りは出来ませんから、思い当たる方は今からでも「腎」を補う漢方薬でケアすべきです。具体的には「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」「亀鹿仙(きろくせん)」などが良いと考えます。
【2】身体を温めすぎないようにする
精子が熱に弱いことはご存知の方も多いと思います。子供の頃の高熱が原因とみられる男性不妊も多いとされます。これは風邪などの熱に限らず、漢方的に云う「熱」もあまり良いとは言えないことを示します。
よって暑がりの方は基本的に要注意で、香辛料が好きな方、サウナが好きな方、仕事が高温環境の方なども気をつけなければなりません。
なお冷やせばよいという訳では無く、冷たいものの飲み過ぎは内臓機能低下につながる可能性があります。身体を冷ますとされる食材(ヤマイモ、豚肉、きゅうり、トマトなど)を上手に取り入れていくとよいですね。
しかし元来の暑がりタイプの方は「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」などで、体質改善を考えた方が良いかもしれません。
【3】適度な運動をする
精子の質を高めるために必要な要素が血行が良いという点です。もともと男性は動物として食材を獲るために、身体を動かすことを前提に体が出来ているはずです。よって運動をしない男性は、どうしても血行が悪くなり、精子の質も悪くなると考えます。
プラスしてタバコを吸う方は、血液ドロドロは間違いありません。
それでも仕事などで時間が取れずに運動がどうしても出来ないという場合には、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」など血液をサラサラにする漢方薬を活用しましょう。
不妊治療の際に、どうしても男性は脇役ですが、脇役が素晴らしいと、主役も輝き、全体として成功に近づくように思います。ぜひ上記の3大ポイントを頭に入れて、辛い治療を受けている女性を助けてあげて下さいね。
精子の質をよくする3大ポイント…節度ある性生活・熱を避ける・運動
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「子宮外妊娠の予防」