帯下(たいげ)=オリモノは、女性にとって大切なものであり、体調のバロメーターとなります。中国には「帯下科」もあるそうで、オリモノのトラブルにその専門科が対処します。日本ではオリモノは下着を汚す、隠すべきものとして認識されているようにも感じますが、膣内を潤すことで粘膜を守り、細菌などの侵入を防ぐ役割とともに、逆に排卵期には精子を守る役割を持つ、大切な分泌物です。

前述のようにオリモノは成人女性ではどなたでも分泌される物質です。しかし、どのようなオリモノが正常であるのか、分かりにくい面はあるでしょう。基本的に正常とされるオリモノは色は、透明かやや白っぽく、臭いはやや酸っぱいか無臭です。量は排卵期に増えるのは正常ですが、その他の時期にオリモノシートが必要と感じるようであれば、やや多いと考えられます。初潮から30代まではオリモノの量は多く、閉経後は減少します。なお、高齢者でオリモノが多い状態は正常とは言えず、体に何らかの要因があると言えます。

それでは今回は、色と量、においに分けて、オリモノでの体質チェックを行ってみます。

★オリモノの量が少ない
妊活において、気になる要素の一つがオリモノが少ないことです。卵子の質が今一歩で、女性ホルモン(エストロゲン)の量も十分でない可能性が高くなります。
中医学では「陰虚」のケースが多く、いわゆる潤い不足です。ヤマイモ、貝類などを摂り、睡眠時間を十分に。

★オリモノの量が多い
体の中に「湿」の邪がある可能性が大です。胃腸が弱い、食べ過ぎもしくは飲み過ぎ、体の冷えのことが多いです。冷たい飲食物、生もの、油っこいものは避け、お菓子、コーヒーなどもほどほどにしましょう。

★オリモノの色が濃い
濃い黄色のオリモノが出ている時は「熱」が体内にあると考えます。この場合、口が乾くことが多いですが、冷たいものを飲むことは避け、海藻類や夏野菜(きゅうり、なすなど)、緑茶などを活用して不要な「熱」を除きましょう。

★オリモノの色が薄い、粘り気がない
妊活においては排卵期に粘り気のあるオリモノの分泌が大切であり、色が薄く、粘らないオリモノは良い状態とは言えません。
中医学では「気虚」や「陽虚」のケースが多く、これらは冷えてエネルギー不足の状態です。体を温めて元気を高めるために、鶏肉、イモ類、豆類などを積極的に食べると良いです。

★オリモノの臭いが強い
オリモノは多少酸っぱい臭いがしても良いのですが、腐ったような臭いなど刺激臭がある場合は、不要な「熱」がこもっているとします。
ストレス発散を心がけ、適度に汗をかき、睡眠を十分に取りましょう。

以上は簡易的な体質判断であり、気になるほどのオリモノの状態であれば、一度漢方の専門家にご相談ください。また、上記は中・長期的な観点での体質判断であり、一時的なオリモノの異常は、菌やウイルス感染などの可能性があることも頭に入れておきましょう。

今回は適する漢方薬の具体例は書きませんでしたが、体質を見極め、最適な漢方薬を服用し、根本的な対策を取ることが出来ると一番です。便や尿、生理と同様に、体質を推し測ることが出来る大切な指標であるオリモノを健康チェックに役立てて下さいね。