当店で不妊の漢方相談を始めてから15年以上経ちました(2024年現在)。漢方服用後にすぐに授かる方もいれば、何年も続けていても兆しもない方…いろいろな方がいらっしゃいます。赤ちゃんを授かる、生命を宿すというのは本当に神々しいことであり、人智の及ばない面があります。しかし、赤ちゃんを望むことは人にとって自然な気持ちであり、その願いを叶えるために漢方が少しでも役に立てばと感じています。
さて今回は今までの不妊漢方相談の経験を踏まえ、そのメリットデメリットを率直に書いてみたいと思います。あくまでも私の個人的な見解でありますが、ご参考ください。
メリット
1)心のケアが出来る
当店にお越しになる不妊の方は病院の治療と漢方服用を併用している方がほとんどです。病院での治療は体だけでなく心の負担にもなりますが、その疲れた心のケアできる場所はなかなかありません。病院での治療を行っていない方も、必ず悩んでいます。なかなか思い通りに授からないのですから当然です。そのような悩みを吐き出すことが出来る場所が漢方相談であると感じています。ちなみに、漢方相談を行っている先生の多くが不妊カウンセラーの資格を持っていて、私も所持しています。
2)体調が良くなる
妊活のために漢方薬を服用すると、「生理痛が無くなった」「冷え性だったのに体がぽかぽかするようになった」「疲れにくくなった」などの声を良く聞きます。漢方薬で体のバランスを整えることが妊娠につながるので当然ではあるのですが、当面の生活の質を改善するだけでなく、長い目で見て病気の予防にもつながっていると考えます。
3)妊娠中・出産後の体のケアが出来る
妊娠希望をしている時に服用した漢方薬は、流産防止や安産につなげることが出来ます。そして、食養生など生活面でのアドバイスは、漢方の服用を終えたあとも心身の健康のために必ず役に立つと思います。これは西洋医学には無いメリットだと考えています。
4)西洋医学的に対処が難しい症状にも対処が可能
精子の量や運動率の問題、卵子の質の問題に代表される、西洋医学的に対策が難しい状態にも漢方薬は対応が可能です。
デメリット
1)お金がかかる
病院での不妊治療に保険が利くようになりましたが、それでも金銭的な負担は小さくありません。加えて漢方薬を購入するとなれば、どうしても気になるのが費用です。当店では月に6000円程度の金額で服用されている方もいらっしゃいますが、年齢が高い場合や夫婦での服用など、場合によっては何種類も漢方薬が必要であり、そうなれば一か月で5万円というケースもまれにですがあります。とはいえ無理なく継続していくことが大事である旨をお伝えし、可能な範囲で漢方を服用いただいています。
2)効果が見えないと不安になる
病院の治療では数値や画像で経過を追うことが出来る面もありますが、特に病院に行っておらず漢方相談だけの方は体調と基礎体温だけが頼りであり、なかなか授からないとどうしても不安を感じてしまうことでしょう。ただ、体調改善は妊娠に近づいている証拠です。
3)物理的な状態改善には限界がある
男性の精管閉鎖、女性の卵管閉塞など、物理的な障害がある場合には漢方薬での対処は現実的には難しいことが多いです。もちろん絶対に対策できない訳ではありませんし、他の面から妊娠へ向けてのアプローチは可能です。
物事には必ずメリットデメリットがあります。以上の要素を踏まえて、不妊でお悩みの方は、漢方相談をご検討頂ければと思います。