汗管腫(かんかんしゅ)は汗を出す管が増殖して、目の下を中心に、ポツポツと出来る白っぽい丘疹です。まぶたの周囲(主に下部)に出来ると目立ち、気にされる方が多いようです。胸部や背中、ワキなどにも出来ることがあります。
女性に生じやすい皮膚疾患で、イボのように見えることから、美容面で問題となります。ただし、悪性ではなく痛みや痒みもないので、命に関わったりと健康に害を及ぼす病気ではありません。

肝管腫は基本的に自然治癒はしないと言われ、内服薬等の治療手段もありません。よって美容外科での手術が唯一の対策となっています。しかしレーザー等でも、思ったように治療できないケースもあるようです。

肝管腫は物理的な変化による皮膚疾患のため、漢方薬を使用しても、改善は簡単ではありません。しかし、再発を防いだり、これ以上の悪化を防ぐための一つの手段になり得ると考えます。
また肝管腫が発生した要因は、必ず体のどこかにあるはずです。その要因に対して漢方的アプローチで改善をしていくことが、健康維持や他の病気の予防になる可能性は高いでしょう。自分の体質と向き合い、漢方の服用をぜひご検討ください。

さて汗管腫の中医学的な発生要因としては、「痰湿」がまず初めに考えられます。「痰湿」とは体の不要物のことであり、凝り固まる性質があります。これが汗管腫の“ふくらみ”の原因と考えます。
次に、目の周りに出来ることが多く、女性に生じやすい疾患であることから、「肝」や「任脈」との関係が示唆されます。ストレスがかかっていたり、生理不順、更年期症状などがあれば、「肝」の不調が要因である可能性があります。

具体的には、「痰湿」を除く作用がある「星火温胆湯(せいかうんたんとう)」、「痰湿」に有効で腫瘍にも用いられる「シベリア霊芝」、「肝」をケアする「逍遥顆粒(しょうようかりゅう)」「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」などが候補として挙げられます。
いずれにしても汗管腫だけでなく、他の体の状態も考慮し、服用薬を決めていくことが大切です。
なお、養生としては、ストレス発散を心がけること、食べ過ぎ飲み過ぎに気をつけること(特に甘いもの、脂っこいもの)などが重要であると考えます。

汗管腫が生じたことはもちろんショックな出来事と思いますが、これを体質改善の一つの機会と考え、漢方的な対策を検討してみて下さいね。