石灰化とは、組織にカルシウムが沈着して、塊を生じることです。正確には皮膚病とは言えない病気かもしれませんが、手で触るとしこりを感じることが多いため、皮膚病のカテゴリーで紹介、解説いたします。

もっとも多く石灰化が認められる部位と言えば乳腺ではないでしょうか。乳がん検診の触診やマンモグラフィーで石灰化が見つかることが多いのですが、基本的に良性です。
次に問題となることが多いのが、肩周辺での石灰化です。この場合は、炎症を生じて肩の痛みとなってしまうケースが多くみられます。四十肩や五十肩と呼ばれる症状の原因の一つとなっていることもあるのでしょう。
また血管の石灰化も知られ、動脈硬化との関連があるとします。これも自覚症状があまりないことが多いものの、画像診断で指摘されることがあるようです。
さらには腎臓の石灰化もあります。無症状が多いようですが、腎結石と同様に画像撮影での異常により診断されます。

石灰化の原因ははっきりとは分かっていませんが、カルシウムの摂り過ぎというより、カルシウム不足で骨からの漏出が増えて問題となることが多いようです。また年齢とともにカルシウムが沈着しやすくなる傾向もあるとされます。
臨床的に一番問題となる石灰化が肩周辺であるように思われ、他はそれほど生活に支障をきたすことはありません。しかし血管の石灰化は命にかかわることも考えられますし、やはり体に不要物があるというのは気持ち良いものではないですよね。とはいえ、どの部位の石灰化も手術を選択されることはあまりなく、また老化との関りがあることを考えてもわかるとおり、明確な効き目がある病院の薬や対処法は知られていません。

そうなると漢方の出番です。石灰化は異物であり、中医学の考え方からすれば不要物が蓄積した状態、すなわち「痰濁」と呼ばれる状態と考えられます。この不要物が蓄積しやすい体質が継続することによって、石灰化した組織が形成されるのではないかと思われます。この「痰濁」体質には「星火温胆湯(せいかうんたんとう)」「シベリア霊芝」などの漢方が用いられます。
また、年齢とともに石灰化が起こりやすいことなどから、血行不良である「お血」が関わっている可能性もあると考えます。血行不良であれば、不要物もたまりやすくなりますので、「お血」→「痰濁」という図式も生じやすくなります。この「お血」体質対策には「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの漢方薬が候補となります。

いずれにしても石灰化が起こった原因がどこかにあるはずです。そして、その原因についての対策を取ることが、他の病気の予防にもつながると考えます。症状がある方はもちろん、症状が無い場合も、専門家に体質相談をしたうえで、漢方薬の服用をご検討ください。