白板症は口の中、舌の裏側や頬の内側に白い板状の病変が出来る病気です。痛んだり、しみたりなどの自覚症状を必ずしも伴わないため、歯医者で見つかることも多い疾患です。白板症は「前がん病変」と言われ、がんの前段階に生じる変化とされます。特に舌の白板症はがんになる頻度が高いと言われます。そのがん化率は3-16%というデータがあるため、特に白い部分が厚かったり、盛り上がっている白板症に関しては外科的切除が望ましいとされます。
白板症のはっきりとした原因は不明ですが、40代以上の男性に多く、喫煙との関係性が疑われています。またビタミン不足や加齢なども関係すると言われます。
白板症が見つかった場合は、まず口腔外科での検査が必要です。経過観察とされても、長い期間をかけてがん化する可能性があるため注意しなければなりません。
その期間は禁煙を勧められたり、ビタミン類が処方されることがありますが、もう少し積極的な治療を考えたいという場合は、漢方薬での対策を検討しても良いのではないでしょうか。
さて漢方の考え方で白板症の症状を見ると、白い病変は「虚」の可能性が高く、口内の症状であることから、「脾気虚」すなわち胃腸系の力不足が一つの要因であるように考えられます。
しかしながら、やはり白板部分は異物ですから、そこには「邪」が存在するとも考えられます。そしてその「邪」は白色であることから「湿邪」が疑われます。不要な水分ですね。
よって対策としては、「脾」すなわち胃腸を強くしながら、「湿邪」を除く効能がある漢方薬の適用が考えられます。具体的には「星火健脾散(せいかけんぴさん)」や「シベリア霊芝含有商品」などとなりますが、もちろん白板症の方がすべてこのタイプとなるわけではありません。総合的な体質判断を行ったうえで、服用する漢方を選択する必要があるため、必ず専門家に相談をするようにしましょう。
なお生活面では、胃腸に負担をかけないために、生もの冷たいものを避けるようにした方が良いと思われます。アルコールも基本的に冷たく、「湿」を貯めやすい性質があるため控えめにしたいですね。
白板症が生じる原因はどこかにあるはずです。基本的には病院での治療が優先ではありますが、生活習慣などを見直し、体質改善を図ることも大切であると考えます。どうぞ漢方の考え方も取り入れてみて下さいね。
【参考図書:今日の治療指針(医学書院)】
【参考サイト:日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/】