精神的に前向きで動じないタイプと、ネガティブに考えがちで不安感を感じることが多いタイプ、この違いはどこから生じるのでしょうか。「性格だから」とあきらめる必要はありません。「心の栄養」が豊富かどうかが影響していると中医学では考えます。
中医学では、「血」が心の栄養と密接に関係します。五臓の一つ「心」は精神面をコントロールしている考えます。その「心」に必要な栄養成分が「血」なのです。すなわち「血」が「心」に満たされていれば、情緒は安定し、思考能力は活発となり、自然と前向きに考えることが出来るようになるのです。
どちらかと言えば、前向きな方は男性に多く、女性は少なくありませんか?これは女性には生理や出産があり、「血」を失いやすい、という面が関係している可能性があります。

それでは、心の栄養成分である「血」を満たすためには、どのような養生を行えばよいでしょうか。以下にポイントを挙げてみます。

1)「血」を生み出すための土壌である胃腸を労わる
後ろ向きな考えをする方は、概して胃腸が弱いです。これは食事を摂っても、胃腸の消化吸収機能が弱いため、十分な「血」を生み出すことが出来ないためです。よって、まずは胃腸を労わって過ごすことが、前向き人生への第一歩です。冷たい食べもの飲みもの、油っこいもの、を避ける(減らす)ことをまずは心がけてみましょう。もともと胃腸が強くない方は、胃腸機能を強化する漢方薬を服用することが一番の近道です。

2)「血」を補う作用を持つ食べものを積極的に摂る
「血」を補う食べものでもっともおすすめなのが鶏肉です。ムネ肉、ササミがベストですが、もも肉でも良いので、1日200gを目安に食べましょう。他には、赤身の魚(カツオ、マグロなど)、卵、貝類などのタンパク質もおすすめ。合わせてほうれん草、小松菜、人参などのお野菜も合わせて摂ると良いです。

3)「心」に良い食べものを摂る
中医学では、「心」を安定させる作用を持つとされる食べものもあります。小麦、なつめ、ハスの実、ゆり根などです。最近はグルテンの問題で小麦が毛嫌いされることもありますが、適度に摂る程度であれば、「心」に良い面があると考えます。

4)「血」の消耗を避ける
頭脳労働や目の酷使は「血」を消耗します。仕事上致し方ない、という場合も、目や頭の休息を大切に。

前向きに考えようと思っていてもいつのまにか後ろ向きの思考になってしまう方は、考え方や性格の問題ではなく、体の問題です。上記の養生を実践し、「心の栄養」をたっぷりにして、ぜひ前向きな人生を送って下さいね。