日本のお弁当と言えば、いわゆる日の丸弁当で、ご飯の真ん中に梅干しが定番。おむすびも然りですよね。しかし、私は子どもの頃、梅干しが苦手で避けていました。酸っぱい味がどうも口に合わず…
とはいえ、今では梅干しがお弁当に入っていたら喜んで食べますし、美味しいなあと感じます。

6月になると梅が大量にスーパーに並び、紫蘇も合わせて売られていることに気付いたのは、恥ずかしながらつい最近です。梅を自宅で漬ける方はたくさんいらっしゃるのですよね。「塩梅」と言うぐらいで、年季が入っていないとなかなか難しいのでしょうか、私もいつか作ってみたい気もします。

このように日本人に愛されている梅干しは、基本的に体に良い食品であると感じています。塩分を気にされる方も多いかもしれませんが、腎臓や血圧に問題がなく、1日1個とすれば体に負担になるとは思えません。ただ、梅干しの塩味を利用して他のおかずを食べるなどしておしょうゆやドレッシングの量を減らすなどの工夫をしましょう。

さてまず梅干しの科学的な効能ですが、クエン酸が多く含まれるアルカリ性食品であるため、心疾患や骨粗しょう症、尿路結石、痛風などの予防効果が期待できるというデータがあります。

そして漢方的には、梅は「烏梅」という生薬として知られます。「烏梅」は梅干しとは製法が少し異なりますが、痰を除き、咳を鎮め、下痢を止める効果があるとされます。“引き締め”の効果があるので、汗をかきやすい方にも合っていますし、美容効果も期待できます。胃腸の働きを整える効果もある、温性で、酸味の生薬です。
また、梅干しを漬ける時に用いられることの多いシソですが、こちらも「紫蘇葉」という生薬です。「紫蘇葉」はストレス発散の作用が知られ、胃腸の不快感にも良い生薬で、温性、辛味の性質を持ちます。
まとめると、梅干しはストレスがかかっている胃腸が弱い方にもっともおススメの食材と言うことになります。日本人は一般的に胃腸が弱いので、梅干しを常用してきた、という歴史があるのかもしれませんね。
ちなみにカゼの時や下痢の時に、梅干しをおかゆとして食べることもおススメですよ。

日本人の現在の食事のスタイル、生活習慣を考えると、梅干しは今こそ食べたい、そんな食材です。もちろん料理の主役にはなれない梅干しですが、世界に誇る日本食の宝の一つであるように感じます。ぜひ活用をしてみて下さいね。