中医学には「子午流注」という考え方があります。「子午」とは、「陰陽」と同様の対義語で、「子午線」などの用語がありますね。時を表す言葉として「子」は夜中の午前0時前後、「午」は昼の午後0時前後を指します。一方で「流注」とは水の流れにたとえたものであり、よって「子午流注」は“時間軸の流れに伴う概念”と言い表せます。すなわち、時間帯ごとに人体に生じる特徴を言い表したものが「子午流注」なのです。

この「子午流注」の理論は、中国の歴史的文献によるものですが、現代生活の養生においても非常に役立つものです。人間は自然界の中で生きている生物である以上、生命活動の基本である太陽の動きに沿って、体内も動いていることは間違いありません。すなわち、自然界の流れに抗わずに生活するという養生が「子午流注」の中に生きているのです。

「子午流注」では1日を2時間ごとに区切り、12分割します。では今回は真夜中0時を起点として前半部分を具体的に見ていきましょう。

1)子時(23時から1時)
・「胆」の時間とされ、胆石ができやすい方はこの時間帯には就寝しているべきとします。また「胆」は決断力と関係するため、その欠如がある方は、早めの入眠を心がけましょう。
・「陰」が最も盛んな時間帯であるため、「陽」を生み出すために、冷えや疲労がある方は23時前に就寝すべきとされます。

2)丑時(1時から3時)
・俗にいう丑三つ時ですね。「肝」の時間に相当するため、この時間帯に熟睡をしていないと「血虚」になりやすいとされます。冷えや生理不順がある方は特に気をつけましょう。
・怒りやすい、憂鬱感があるという方は「肝」を大事にするため、丑の時間帯にはぐっすりと寝ていることが大切です。

3)寅時(3時から5時)
・「肺」の時間とされ、顔色が青白い方は、この時間帯の睡眠を大切にしましょう。早起きの方は、「肺」のお薬である「衛益顆粒」をこの時間に服用できると良いですね。
・静から動に変化していく時間帯であり、徐々に浅い睡眠に変わっていきます。

4)卯時(5時から7時)
・「大腸」の時間です。排便をして、デトックスを行い、1日の生活を気持ちよく始めましょう。

5)辰時(7時から9時)
・「胃」の時間帯であり、朝食に最適なタイミングとなります。

6)巳時(9時から11時)
・「脾」の時間であり、1日でもっとも消化吸収効率が良い時間帯とされます。逆にこの時間帯に冷たい飲みものを摂ってしまうと、胃腸機能に不具合が生まれやすくなります。

次回は11時以降の後半部分を説明させて頂きます。