漢方薬の原料ともなる生薬にも使われているなじみある食材をピックアップします。今回は2回目、温性の性質を持つ食材を取り上げてみました。

1)しょうが
「生姜(しょうきょう)」という生薬として知られます。効能は「散寒解表」「温胃止嘔」など。すなわち、寒さを散らし、汗を出す作用と、胃を温めて嘔吐を止める作用です。さらには「解毒」作用が知られ、魚の中毒による嘔吐下痢に使用すると規定されます。それをあらかじめ予防する意味でもお寿司にガリは付きものなのですよね。
ただし「生姜」は量を多く摂るべきではありません。また空咳などは悪化させることもあるので注意です。最近「生姜茶」も人気のようですが、どなたでも合う訳でありません。ちなみに生薬の「乾姜(かんきょう)」はしょうがを乾燥させたもので、厳密には別の作用があります。

2)シソ
「蘇葉(そよう)」という生薬です。効能は「散寒解表」「理気寛中」。「生姜」と同じグループで悪寒のある初期のカゼに用います。また、胃腸を落ち着かせ「気」の流れを良くします。
「蘇葉」も「生姜」と同様に魚介類の毒による嘔吐下痢などに用います。お刺身などを食べる際はシソも一緒に食べると良いですよ。
また「理気」作用があるため、ストレスによって気分が晴れない時にも良い食材です。特にストレスがお腹など消化器系に影響しやすい方におすすめです。

4)シナモン
「桂皮(けいひ)」という生薬です。「温中補陽」「散寒止痛」などの効能を持ちます。
しょうがやシソと似ていますが、深い部分の「陽」を補う作用があるため、短期的なカゼではなく、慢性的な冷え症や、冷えが原因の腰ひざの痛みに用います。
「桂皮」も少量使用の生薬です。シナモンも同様に摂り過ぎには気をつけましょう。

4)らっきょう
「薤白(がいはく)」という生薬です。効能は「通陽散結」「下気行滞」。冷えによって胸苦しい時に用いられ、「気」を下に降ろすため、咳などに効果的です。
寝るのがつらいぜんそく症状に伴う胸痛に使われる生薬であり、らっきょうも似た作用があると考えられます。

「体は温めるべき」と訴える書籍などもありますが、なんでも温めれば良いというものではなく、バランスが大事です。温め一辺倒は発汗に依る消耗や乾燥を招いたりする可能性があります。上記のような、生薬としても温める性質を持つ食材は、比較的力が強いと考え、長期間の使用には注意が必要です。特にしょうがとシナモンは摂り過ぎに気をつけて下さいね。

≪参考図書:中医臨床のための中薬学(医歯薬出版株式会社)≫