最近は「がんばらない」という言葉を良く聞きます。病気で苦しんでいる方や災害の罹災者に対して「がんばって」と何気なく声をかけたくなりますが、「十分がんばっている。これ以上何をがんばれば良いのだろう」とつらく感じてしまうそうです。

確かに「がんばる」には、体にも心にも多少無理をして行動する、というイメージがあります。本当にいっぱいいっぱいの時には励ましの言葉にはならず、厳しく感じてしまうこともあるでしょう。
それでも人間生きていると、何かを我慢してでも、力を尽くしてがんばらなければならないこともあるようには感じます。例えば、試験勉強やスポーツの試合、大事な仕事などでしょうか。このような時は「精一杯がんばる」ことも大事であるように考えます。

しかし、長い間がんばってきた場合や、心身が弱っている時にがんばってしまうと、さらに消耗してしまい、目標や成功とは逆の結果となり、心も体も病気になってしまうことも多くなります。これでは「がんばり損」です。
中医学ではがんばるためには「気」と「血」が大切と考え、この二つが充実している時であれば多少の無理は平気です。しかしこれが長期間にわたると「腎」と呼ばれる生命力の源の力まで注ぎ込むこととなり、言うなれば寿命を縮めてしまいます。「腎」の力は“底力”のようなものであって、最終兵器です。もちろんいざという時には「腎」を傷めてでも、最大限の力が必要な時はあるのでしょう。しかし、体の酷使は取り返すことが非常に難しいのです。

よって、少し無茶をしてがんばっている最中は、「気」「血」を十分に補給して、「腎」のケアをして頂くと良いですね。体質にも依りますが、「気血」を補充できる「補中益気湯」や、「腎」の力をカバーする「参馬補腎丸」などの漢方薬を服用することが出来ればバッチリです。
もちろん、よく寝てよく食べてという生活養生も基本となりますが、がんばっている時は時間がなく、なかなか難しいもの。このような時こそ漢方薬でのお体ケアがおススメです。

とは言っても、やっぱり「がんばり過ぎない」というのは大事だと思います。心身の酷使は、薬で完全にカバーできるものでは無いからです。ほどほどに、ぼちぼちとがんばり過ぎないことを心がけましょうね。