体を温めるだけでなく、心も温めてくれる、太陽の光。お天道様は私たちの世界に欠かせませんよね。太陽の光は中医学では「陽」に属し、人間の体にとっても大切な自然界の力として考えます。
一方で、最近は紫外線はとかく悪者にされます。確かに過度の紫外線は皮膚がんの発生率を高めることが知られています。また、しみの原因の一つであることは疑う由もありません。
しかし、以下のように日光を浴びるメリットもたくさんあります。
★ビタミンDを生成し、骨の生成を促す→骨粗鬆症・生活習慣病の予防
★しあわせホルモンとも呼ばれるセロトニンの生成を促す→精神面の安定・生活リズムを整える
人類はもともと日光を浴びて生活してきました。となれば日光にあたることは人の体にとって自然であり、過敏に避けることは逆に不健康になってしまう可能性があります。
とは言え、やはり日焼けやしみは気になります。日焼け止めを使って4-8月ぐらいの紫外線の強い時期の体の外からのケアは、特に女性にとっては必須では無いでしょうか。ただし、体の外のケアだけでは限界があり、体の中からのケアも大事です。
紫外線の弊害はいわば体をさびつかせることです。酸化ですね。それに抗うためには、抗酸化作用を持つ漢方を服用すれば良い訳です。また皮膚と「肺」は関係が深く、「肺」の「陰」すなわち潤い分を補うタイプの漢方は、紫外線対策に役立ちます。以下は、紫外線ケアに用いられることが多い漢方の例です。
1)沙棘(さーじ)の果実…ビタミンEを豊富に含み、肌の潤いアップを促します。粘膜修復作用があります。漢方の理論では「生肌潤膚(皮膚をキレイにして潤す)」の作用を持つとされます。
2)枸杞(くこ)の実…ORAC値(活性酸素吸収能力)が非常に高く、世界で最も強力な抗酸化作用を有する食物として知られます。特に目の周りの肌ケアに向いていると考えます。漢方の理論では「滋腎」「潤肺」の作用を持つとされます。
3)蛙の輸卵管…「哈士蟆油(はしまゆ)」と呼ばれ、漢方の理論では「養陰潤肺」の作用を持つとされます。「肺」を潤すことで皮膚の状態を良好に保つことが出来ます。
4)玉屏風散(ぎょくへいふうさん)…漢方処方であり、皮膚粘膜のバリア力を高める作用を持つとします。紫外線から肌を守るパワーを高めると考えます。
食材で言えば、いちご、りんごなどの果実は抗酸化作用が高いとされます。これらは漢方の理論上も潤いをもたらす作用があるとされ、皮膚ケアのために良いと考えます。
紫外線ケアも人それぞれ体質に合わせて行うことが肝心です。太陽の力をありがたく頂きながら、お肌のケアを上手に行いましょう。