エリテマトーデスは自己免疫疾患です。本来、異物に対して自分の体を守るべき免疫システムが、誤って自分の体の細胞や組織を攻撃してしまう病気で、全身に様々な症状が発現します。難病指定されている病気であり、若い女性に多く見られます。発症の原因は分かっていません。
一口にエリテマトーデスと言っても、症状もその程度も様々です。重症例や急性期であればステロイドによる免疫抑制が欠かせません。しかし慢性化し小康状態を保つケースも多く、その場合には漢方薬で体質改善を図っていくことを検討しても良いのではないでしょうか。また、ステロイドが効かない、その副作用が非常に強い、免疫抑制剤の投与を検討しているなどいったケースでは、漢方薬を一度試してみる価値があるように思います。基本的にエリテマトーデスに使われるお薬は、免疫力を下げるため、結果として風邪などの感染症にかかりやすくなります。そのような時に漢方薬を併用すると感染症の予防につながるでしょう。
エリテマトーデスには様々な症状があるために、適応する漢方薬もその時々によって変わってきます。よって一概に「エリテマトーデスにこの漢方が効く」とは言えません。しかし原則としてエリテマトーデスは「炎症疾患」であり、漢方の理論では”熱”と捉えるべき症状が多くなります。そのため、体の”熱”を冷ます漢方薬が選択される場合が多く、体を温めるタイプのお薬の使用は慎重にすべきでしょう。
例えば良く起こる症状としては「口内炎」「顔の紅い斑点」など皮膚の異常があります。このような症状が見られる時には、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」や「涼血清営顆粒(りょうけつせいえいかりゅう)」など、”熱”をしっかりと冷ます処方を選択しなければなりません。その上で、お薬の併用を考えていきます。
関節症状があれば「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」「イーパオ」などが考えられ、腎臓の問題が懸念されれば「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」なども検討する余地が出てきます。
さらには免疫の異常を食い止めるために、「シベリア霊芝」や「星火霊芝宝」などの免疫調整能力があるとされる漢方を使っていくケース、感染症を防ぐために「板藍茶」などを考える場合もあるでしょう。
いずれにせよ、漢方の専門家にきちっと体質を判断してもらうことが大切です。血行を良くするとされる漢方薬などが必要な場合もありますが、むやみに使うと体を温めて、症状を悪化させてしまうことさえあるでしょう。西洋医学と漢方の利点をそれぞれ活かして、病気に対処していって下さいね。
エリテマトーデスと漢方
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