睡眠障害と漢方.jpg睡眠は人間にとって無くてはならない生命活動です。充実した睡眠が取れれば体の活力も上がり、ストレスも無く生活することが出来ます。しかし睡眠の悩みを抱えている方は非常に多いという現状があり、健康を損なう一因となっている気がします。夜も電気が消えることがなく、ストレスが日常的にあり、運動する機会も減っているという現代の生活スタイルが多分に影響しているのでしょう。
一口に睡眠障害と言っても、以下のように様々なケースがあります。
★寝付きが悪い
★途中で目が覚めて、その後で寝付けない
★あまりにも早い時間に目が覚めてしまう
★夢をよく見るなど、熟睡感がない
これらが単独で起こるケースもあれば、複合している場合もあります。「不眠」とまではいかなくともすっきりとした睡眠が取れなければ、睡眠障害があると言えるでしょう。
西洋医学では人を眠らせることは難しくありません。いわゆる「麻酔薬」の軽いものである「睡眠薬」が存在するためです。しかし、人の睡眠はそれほど簡単に制御できるものではなく、強い睡眠薬を用いると今度は朝起きれなくなったりしてしまいます。また、睡眠障害の根本的な原因を解決している訳ではないので、体に起こっている”何か”を無理に封じ込めている印象が否めません。
もちろん不眠の状態が長く続くと心身ともに大きなダメージを受けてしまうため、時にはしっかりと睡眠薬を使うことも必要です。しかし”頼り過ぎ”てしまう前に、根本的な解決を目指して漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
さて睡眠障害に用いる漢方薬ですが、非常に多くの種類があり、適切に使い分けることが重要です。「弁証」と呼ばれる”診立て”を必ず行うべきであり、「不眠だからこの漢方」という考え方は適切ではありません。
中医学において、不眠や睡眠障害にもっとも関係が深いとされている臓は「心」です。「心」は精神状態と関係しますので、その「心」が不安定な状態になると、イライラするなどして寝付きが悪くなります。さらに、この「心」と他の臓である「脾」「腎」「肝」の関係が崩れることによって、さらに睡眠障害が起きやすくなってしまいます。
具体的には、精神面との関係が深い睡眠障害には「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」など、疲れがあり胃腸系の問題がある時には「帰脾湯(きひとう)」など、先天的な問題や加齢が関係しているケースには「天王補心丹(てんのうほしんたん)」など、体内の余分な水分があると考えられる場合には「温胆湯(うんたんとう)」などが使われます。
また「シベリア人参」は抗ストレス作用を持つ漢方ですが、気持ちを落ち着かせて睡眠障害にも有効です。上記の漢方薬と併用することにより、より効果を期待することも出来るでしょう。