
眼底出血は、眼の一番奥に位置する網膜に生じる出血です。眼底出血が生じると、視野が欠けたり、視野がぼやける、飛蚊症のような症状が出ることもあります。見た目は変化がないことも多く、上記症状を認めて眼科の診察を受けた時や、健康診断で指摘されることが多いようです。
眼底出血の原因となる疾患は様々ですが、中でも糖尿病性の網膜症は失明原因の第一位であり、注意が必要とされます。また加齢黄斑変性でも眼底出血が認められることがあります。
一方で結膜下出血は、眼の前方に位置する結膜下の細い血管が破れることによって生じます。白目が赤くなり目立ちますが、痛みはなく、視力にも影響しません。
原因は様々ですが、くしゃみや咳、飲酒過多、月経などでも起きる症状とされます。通常は1~2週間で消失します。
一般的に白目が赤くなる時は結膜下出血であって、自然治癒します。しかし、繰り返し出血しやすい方がいて、放置しても治るとはいえ、そこには原因が潜んでいるはずです。見た目にも良いものではないため、繰り返す方は漢方的な対策を考えてみてはいかがでしょうか。
また眼底出血においては、それを引き起こしている原因疾患があることが多く、その治療を行う必要がありますが、出血自体を治療するにはレーザー治療等となり、当面の経過観察を指示され、不安を覚えるケースもあることでしょう。この場合も漢方での対策が有効となるケースがあるでしょう。
さて漢方では出血の原因を「脾不統血」と捉えることが多いです。「脾」すなわち消化吸収系の力が十分でないと、「血」をコントロールすることが出来なくなり、出血してしまうと考えるのです。
すなわち、眼底出血や結膜下出血など、眼の出血に関しては、「脾」の治療を行うことで「血」が出ないように制御します。この場合の代表方剤は「帰脾湯」です。
なお、「血」の不足から不正出血が生じることもあります。生理や貧血が原因の結膜下出血や眼底出血もありますが、これはまさに「血」の不足である「血虚」が要因です。
また、疲労や老化が原因のケースも考えられ、その場合は「気」の不足からの「血」制御力不足が出血となっており、この場合は「気」を補うことを中心に対策を考えます。
ただし、実際に漢方薬を服用する前には専門家による体質判断が重要です。
目の出血は体から発せられたSOSサインとも言えます。すぐに良くなるからと考えず、繰り返す方は特に、早めにお体のケアを考えて下さいね。
【参考資料:今日の治療指針(医学書院)】
【参考ホームページ:結膜下出血 | 参天製薬日本サイト
眼底出血の原因はストレス?生活習慣の乱れ?|渡部眼科】