ついつい食べ過ぎてしまうという方は多いと思いますが、異常なほどに食べ、その後嘔吐する神経性過食症や、食後に自制できなかったことを後悔しながらどんどん食べて太ってしまう過食性障害は病気であり、場合によっては生命に関わります。神経性過食症は若い女性に多い病気とされ、過食性障害は男女半数とされます。
医学的には精神障害の一種と考え、抗うつ薬などが処方される他は、カウンセリングなどでの対処となります。遺伝的要因などもあるとされますが、はっきりとした原因があるわけではなく、対策を取るにしてもケースバイケースになるのではないでしょうか。

過食症とまではいかなくとも、過食傾向の方は多いように思います。季節や精神状態、体調などによって一時的に過食になる方もいらっしゃいますし、過食症予備軍はかなりの数になるようにも感じます。
そもそも食べるものがあふれている現代では、食欲と云う本能を満たすために目の前のものをたくさん食べてしまうという行為は自然であるようにも感じられます。それでも、満腹を感じなかったり、自分で吐こうとする行為は、明らかにバランスが崩れています。

「心身一如」の考え方からすれば、過食のように自制が効かない状態も、体の不調があると思われます。病院に行くほどではない過食傾向の方や、抗うつ薬などの服用がためらわれる方、または服用しても効果がない方などは、体のバランスを整えて過食状態を軽減させるために、漢方の服用を検討されてはいかがでしょうか。

さて漢方では「胃熱」があると、過食傾向になると言われます。「胃熱」とは文字通り、「胃」に「熱」がこもっている状態のことで、胃の働きが亢進してしまいます。「胃熱」は、ストレスや辛い物の食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎなど、様々な要因で起こるとされます。
「胃熱」があると、食欲旺盛となるばかりか、すぐにお腹がすくため、過食になりやすいと考えられます。その他、口臭や喉の渇き、冷たいものを飲みたくなる、胸焼けなども「胃熱」の特徴とされます。

この「胃熱」が生じている時には「熱」を冷ますお薬である「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」などの漢方薬を用います。ただし、「胃熱」が起きている根本原因も考慮した体質判断が重要です。必ず漢方薬局で体質判断を行って、もっとも適切な漢方薬を服用するようにしましょう。

過食症とまではいなかくとも、ついつい食べ過ぎてしまうことが多い方は、症状がひどくなる前に対策を考えてみて下さいね。