文字どおり舌が痛む舌痛症。口内炎のような明確な異常が見当たらないのに、ピリピリとした痛みが続きます。舌をはじめとした口の中の不調は、食事に影響を与えるため、日常生活の質を低下させ、大きなストレスとなります。

舌痛症は医学的には原因不明の病気であるため、確立した治療方法があるわけではありません。時には精神的な影響と考えて、安定剤などが処方されることもあるようです。
しかしこのような医学的に原因が分からない時こそ、漢方の出番です。痛みがあれば、その原因を理論立てて説明することが出来るのが漢方という学問。慢性的な症状ですから、すぐに効果が出るとは限りませんが、続けていくことで必ずや痛みの緩和に役立ち、体全体のケアにもつながることでしょう。

さて漢方で舌痛症を考える時、もっとも注目すべきはやはり舌と云う器官であり、対応する臓は「心」となります。「心」は精神の働きをコントロールする場所とされ、この「心」の不調が舌の状態に表れると言われます。よって舌痛症の場合においても、「心」のバランスを整えることを中心に考えます。
特に「心」に「熱」の邪気が入り込むことで生じる「心火亢進」という病態は、舌の痛みにつながることが多いとされます。この場合は「火」を鎮める漢方薬、例えば「三黄瀉心湯」や「半夏瀉心湯」などを服用することで、症状の改善が見込めます。なお「心火亢進」の場合は、動悸や不眠などの症状が生じることも多いとされます。

なおストレスは「心」に影響を与えてしまうため、出来る限り避けるようにして、発散を心がけましょう。また「心」に良い食べ物としては、レンコンやユリネ、ゴーヤなどが挙げられます。逆に香辛料など刺激物は控えめにしましょう。

以上、一般的な舌痛症の漢方的対応を説明してきましたが、やはり総合的な判断により、最適な漢方薬を服用することが大切です。漢方の専門家に相談し、アドバイスを受けながら、舌の痛み対策を考えて下さい。