体外受精の成否を大きく左右する、受精卵の質。良い受精卵が出来たからと言って、100%妊娠するわけではありませんが、質が良いと着床の可能性はかなり高まり、出産までつながることも多いとされます。
受精卵の質はグレードで表されることが多く、病院によって指標は多少異なりますが、胚盤胞ではガードナー分類と云う方法がよく使われます。3AAなど数字とアルファベットで表され、基本的には3BB以上は良好な胚であるとされます。しかしこれはあくまでも受精卵の形態から判断されるもので、グレードが良くとも染色体の異常などが存在することもありえます。

では、この受精卵の質を高めるにはどうしたら良いでしょうか。一番のポイントはやはり年齢であり、1歳でも若い方が質が良い卵が採卵できるとされます。ちなみにAMHは卵巣予備能の指標であり、これも卵の質に直結するものではありませんが、数値が高いと卵の質も良い可能性はあると思われます。
とはいえ、年齢は後戻り出来ません。となると医学的対策としては、
1、卵巣を一度休ませてから採卵する
2、自然周期など低刺激で、少数精鋭で採卵する
などが考えられます。
このような方法を使っても受精卵の質が上がらない場合は、漢方の考え方を活用して、以下の3つのポイントを試してみてはいかがでしょうか。

1、「腎」を強化する
卵の質が年齢と関係が深いのであれば、中医学で云う「生命力」「生殖力」と関係する「腎」を補うことが何よりのポイントと考えられます。「腎」を補うことが、いわゆるアンチエイジングにつながるとされます。もちろん簡単なことではありませんが、質の低下を食い止める方法として「腎」のケアを行って損はありません。
具体的には「星火亀鹿仙」「杞菊地黄丸」「参馬補腎丸」などが「腎」を補う漢方です。


2、生活面の改善を考える

睡眠不足や無理な生活は、体の老化を早めるということは誰しも実感として持っているのではないでしょうか。漢方の考えでも、生活習慣の改善が「腎」を守ることにつながるとされます。
特に睡眠は大切です。出来れば22時には就寝をするようにしましょう。
また、食べ物が体を作る源ですから、質の良い食事も大切です。特に「腎」に良いとされる、黒豆、海藻類、貝類、山芋などを意識して摂るようにしてみましょう。


3、男性の状態を高める

忘れてはいけない男性の役割。受精卵は卵子だけでなく、精子と合わさり出来ていることを忘れてはなりません。受精すれば関係ないと考えがちですが、私は精子の質を少しでも良くしておくことが大切と考えます。精子も数値等だけで質を判断できるわけではありません。上記1番と2番を男性も心掛けて頂くことが大事です。

もちろん、リラックスや運動なども大切と思いますが、上記3つのポイントをまずは抑えて、良好な受精卵を目指してみて下さいね。