
「芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)」、長い名前の漢方薬ですね。中国で17世紀に発刊された書物「萬病回春」に記載されている処方「芎帰調血飲」を元に、生薬を加減して作られた処方です。「芎帰調血飲第一加減」に含まれる生薬はなんと21種類!当店で扱う漢方薬で一番多くの種類の生薬が含まれる処方です。
この「芎帰調血飲第一加減」は処方全体では「養血調血」「行気活血」「温通止痛」の作用を持つと定義されます。すなわち「血」を増やし、「気」と「血」の流れを良くして、体を温めて痛みを止める作用です。主には女性にとって大切な「血」を良い状態にする作用があるため、婦人科系の疾患に多く用いられます。
また、医薬品としての効能効果には「血の道症」という病名が記載されています。これは女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと。生理痛やPMS、排卵痛、更年期障害などが当てはまるのだと思われます。この記載があるためなのでしょう、不妊にもよく使われる処方になっています。
余談ですが、「芎帰調血飲第一加減」の効能効果は「血の道症」以外は、月経不順、産後の体力低下です。ということは、初潮前の子どもには使うことはなさそうですが、2歳未満の服用量の設定があるのですよね…実際には子どもに使っても問題ない処方ですから良いのですが、矛盾しているなあ、とは感じます。
さて、「芎帰調血飲第一加減」についての私の見解ですが、あまりにも個々の生薬の量が少ないという印象。補うというよりは、「気血」の流れを良くする生薬が多く含まれていますが、どっちつかずになっている感もあります。温める生薬がほとんどであり、痛み止めに働く生薬も含まれるため、生理痛や排卵痛には使いやすいと考えます。よって、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などの方には合うことも多いのではないでしょうか。
また、不妊の一つの要因として、「気」や「血」の流れが悪いという場合も多く見受けられます。その場合には「桂枝茯苓丸」や「冠元顆粒」と合わせ、「芎帰調血飲第一加減」も服用の候補となってきます。ただし、目的のはっきりとした前者二つの処方と比べ、多くの生薬を少量ずつ使用している分、「芎帰調血飲第一加減」は効果のシャープさには欠ける処方内容と感じています。そして、不妊対策にとって不可欠な「血」を補う力は弱いため、「婦宝当帰膠」などの処方との併用が必要となる場合が多いでしょう。
「芎帰調血飲第一加減」は、一言で言えば無難な処方とも言えます。とはいえ、温める処方内容であるため、のぼせ、ほてりがある方には合いませんし、冷えていると感じていても「熱」が一部にこもっている場合には一工夫が必要です。服用の際には必ず漢方の専門家に相談をしましょう。







