クコ(枸杞)は杏仁豆腐の上に乗っている赤い粒状の果実です。甘くて美味しいのですよね。料理では色あいの意味が強いと思われますが、漢方の教科書にも載っている優れた効能を持つ食べものです。
クコは「枸杞子」として中薬学の教科書に掲載されています。性味は平性で、体を温めるでも冷やすでもないため、使いやすい生薬です。帰経は「肝」「腎」「肺」です。
そして効能については「滋補肝腎・明目」「潤肺」とされます。「肝」と「腎」を滋養して補うため、「肝」「腎」から栄養をもらう目が見えやすくなります。また、「肝腎陰虚」と呼ばれる「肝腎」の潤い不足から生じるめまいやふらつき、腰やヒザがだるく力が入らない、精力減退や精液の漏れ、口の渇きなどの症状にも用いられます。
もう一つの効能が「潤肺」。同じく「肺腎陰虚」が原因の慢性的な咳に使用します。
ただし、「陰」を補って潤いをもたらす生薬にありがちなのですが、胃腸が極端に弱い場合には、その潤いを胃腸が受け止めきれないため、使用は慎重にする必要があります。
さて難しい話はここまで。下記はクコに関する逸話です。
★「長期間食べ続けると老いにくくなる」(神農本草経)
★「長生きしたければ枸杞を食え」(牧野富太郎)
★「旅先の夫にクコの実を食べさせるな」(中国の言い伝え)
※妻が浮気を心配するほどクコの実には精力効果があるため
科学的には男性ホルモンであるテストステロンを増やす研究結果があります。また成分的にはアミノ酸、糖質、ミネラル、ビタミンB及びC、抗酸化作用を持つカロチノイドなどが含まれています。
このようにクコは様々な作用を持つ健康食品と言えます。甘くて美味しいから続けやすく、おやつ代わりにもなりますよ。
≪参考図書:中医臨床のための中薬学(神戸中医学研究会)≫