へバーデン結節は、手指の第一関節(爪に近い方)に生じる変形性関節症です。指の関節が赤くふくらんだようになり、痛みや違和感を感じる方が多いです。指1本に生じることもあれば、5本とも起きる場合もあります。まれに、第二関節に生じるケースもあり、これはブシャール結節と呼ばれます。
似た症状として、リウマチがありますが、リウマチは第二関節や指の根っこの関節に生じることが多いとされます。

へバーデン結節の原因は不明ですが、遺伝の関与と手指を多用する作業の従事者に多いそうです。また、50歳代以降の女性に好発するという報告があります。
整形外科にて診断は容易であり、痛みがひどい場合は固定し、場合によっては鎮痛薬が処方されます。しかし、根本的に治す薬はありません。また症状は自然に改善する場合も多いため、「年のせい」と言われ、様子を見るように指示されることも多いでしょう。しかしながら、やはり指がいつもと違う状態となっていると気になるものですよね。また指の違和感は、料理や家事、仕事に影響を与えます。このような時は、漢方的な対策を考えてみましょう。

さて漢方の理論でへバーデン結節の原因は、まず「お血」すなわち血行不良を考えます。「お血」があると、痛みが生じやすく、腫れることも多いとします。女性はホルモンの関係や、運動する機会が減るため、40歳を過ぎると特に「お血」の症状が出やすくなるように感じています。その一つがへバーデン結節であるとも考えらます。
そしてもう一点、加齢に伴って生じる症状であり、骨の異常が原因であることから、「腎虚」との関係が疑われます。中医学で「腎」は生命力と関連する臓であり、その「虚」すなわち消耗は、様々な老化現象を引き起こします。また「腎」は「骨」をコントロールするともされます。よって骨の状態が影響しているへバーデン結節も「腎虚」が原因の一つとなっている可能性がありますが、加齢とともに比例して増える疾患であるとは言えないため、主要因ではないと考えます。

以上より、へバーデン結節対策としては、「お血」を改善する漢方薬の服用が良いと考えます。また「通絡」と呼ばれる、神経のとおりを改善する作用を持つ漢方も合っていると思われます。さらには「補腎薬」を加えると、より体をケアすることが出来るでしょう。
なお、「お血」対策の一番の基本は、体を動かすことです。指だけでなく、全身運動が出来るといいですね。しかしながら、疲れやすかったり、貧血傾向であったりと、全般的に体が弱っている場合には運動が逆効果になるケースもあります。漢方薬はもちろんのこと、自分の体に合った養生を知るために、まずは専門家に相談してみると良いですね。

へバーデン結節は怖い病気ではありませんが、生活の質を低下させます。対処方法にお悩みの方は、ぜひ一度漢方での対策を検討してみて下さいね。

≪参考図書:今日の治療指針(医学書院)≫