
聴覚情報処理障害(APD)は、音は聞こえているものの、その内容を理解することが出来ない状態を言います。聴力検査は正常であっても、言葉を頭で処理できないのです。具体的には「聞き取れない」「言葉が理解できない」という状態となります。
たとえば、
★聞き間違いをする→似た言葉の間違いというより、全く異なる言葉として捉えてしまう
★雑音にかきけされてしまう→ざわざわした環境が苦手
★視覚情報が有意になる→電話が苦手
などの症状が生じます。
最近は海外で「聞き取り困難症(LiD)」とも呼ばれています。学校や仕事などの社会生活に困難が伴う症状にも関わらず、日本ではAPDの認知度がまだ低いため、患者は苦労が多いとされます。
現在のところ、APDの西洋医学的な治療薬はありません。補聴器を使用したり、トレーニングを行うことで症状の改善が見られるケースもあるようです。しかし、体の内部で何らかの原因で生じている症状である以上、漢方的観点からの働きかけで改善の可能性はあると考えます。
まず最初に、漢方・中医学の理論上、耳は「腎」と関係するとされます。聴力は正常であっても、小児にも多く見られること、認知症と似た症状であることなどから、生命力と関係する「腎」の機能が弱いことが一つの原因になっている可能性は高いと考えます。いわゆる「腎虚」であり、「補腎薬」と呼ばれる漢方薬、具体的には「滋腎通耳湯(じじんつうじとう)」などでの対処が考えられます。
また、注意力や集中力が無いという状態は「血虚」が原因である可能性があります。「血」は心の栄養でもあり、脳の栄養でもあります。APDに加え、ぼっとしてしまう、立ちくらみが多いなどの症状を伴う場合には、「血」を補う「補血薬」の服用が必要です。具体的には「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」などの漢方薬です。
さらには、脳の損傷や疾患がAPDをもたらすことがあるとされます。脳疾患は「血」の流れが悪い状態であることが多いため、APDは「お血」と関連している可能性があります。また認知症の原因も「お血」であることが多いこともそれを裏付けます。この場合は「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの「お血」改善のお薬が使用されます。
このように西洋医学的に対処が困難であるAPDも漢方的なアプローチは様々考えられます。お困りの方はぜひ漢方の専門家にご相談をされてみて下さい。
参考ホームページ:池袋ながとも耳鼻咽喉科
https://nagatomo-ent.jp/auditory-processing-disorder







