中医学の勉強していると、医食同源、食べものの話も数多く出てきます。漢方薬の起源は植物や動物ですから、当然と言えば当然です。また、病気を薬で治すのはレベルが低い医者で、日々の食事で病気で治す医者こそ名医ともされます。それほど、普段の食事が体作りに大事であると考えます。
このように食べものの話が出る機会が多い中医学ですが、その中でもひときわ名前の挙がることが多い食材が「きくらげ」です。ぱっと見ても、まあそれほど栄養も無さそうで、色のアクセントとして入っているような感じもする「きくらげ」ですが、中医学では体に良いものとして有名なのです。

その「きくらげ」は、倒木などに発生するキノコです。普通目にする機会が多いのは黒きくらげで、炒めものに入っていることが多いでしょうか。私はかた焼きそばやラーメンに入れたりします。
一方で白きくらげに関しては、中華料理の店でゼリーなどに入っていることがあるのですが、食べた経験がある方は多くないかもしれません。しかし、中国では不老長寿の食材として珍重されています。「銀耳」と呼ばれ、漢方処方の中に入っていることもあるのですよ。

黒きくらげと白きくらげの中医学的な効能は以下のように分けて考えることが出来ます。

★黒きくらげ…「腎」に作用します。「腎」は生命力と関係する臓です。全般的な加齢による衰えに伴う症状(特に難聴、脱毛、白髪、骨や歯の衰え、認知症状など)を予防するために使用できると考えます。要するに老化防止ですね。また「腎」は生殖力とも関係するため、不妊や更年期対策などにも良いと考えられます。

★白きくらげ…「肺」に作用します。「肺」は呼吸器系と関係する臓であり、皮膚とのつながりもあります。また白きくらげは潤いをもたらすとされますので、特に空咳や乾燥肌に良いと考えます。いわゆる美白効果も期待できそうです。

どちらも平性であり、また胃腸にも良いとされるため、多少量を多く摂っても問題ありません。健康長寿のために、ご自身のタイプに合わせて、きくらげを毎日少しずつでも食べてみてはいかがでしょうか。