双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。
躁状態はハイテンション。自信にあふれて、寝なくても平気、おしゃべりになり、家にいるより外に出かけ、買い物や恋愛に積極的になります。良いこともある気もしますが、怒りやすくなったり、浪費をしてしまったり、性生活が奔放になったり、周りに迷惑をかけてしまうことがあります。
一方でうつ状態はローテンション。上記とは全く逆で、やる気が出ず、寝ても途中で起きてしまう、口数少なく、部屋にこもり、興味や喜びがわきません。
双極性障害は、この躁とうつを行ったり来たりします。躁状態が終わると、ほとんどの場合、うつ状態になってしまうとされます。その際に躁の時の行動を悔やみ、普通のうつ状態よりも、さらにつらい気分を感じることとなります。
どなたでも気持ちの上下はあり、とても前向きな時と、どうしても後ろ向きに考えてしまう時があるのではないでしょうか。しかしこの波が極端で、いつもと比べてあまりに極端で、おかしい感じるようであれば要注意。双極性障害を疑います。次にうつの時間が来ると考えて対策が必要です。
病院ではエビリファイ、リーマスなどの安定剤が処方されることが多いです。しかし、薬を使用したくない場合、薬が上手く効かない場合、再発を繰り返し根治を考えたい場合、などは漢方の服用を検討しても良いのではないでしょうか。
双極性障害を中医学で見ると、「陽」の時間と、「陰」の時間を行ったり来たりしている状態と考えます。躁状態は、「虚熱」と呼ばれる、「陰」の不足で生じた「熱」が原因の“カラ元気”のことが多いと思われ、「気」が消耗してガス欠となるとうつ状態に陥ります。また躁状態は、抑えが効かず、体に無理がかかっている状態ですから、長い目で見ると体の消耗が大きくなります。
したがって、原則としてはブレーキ役の「陰」を補充することが大切と考えます。「補陰」ですね。代表的な「補陰薬」である「六味丸」「杞菊地黄丸」などしっかりと漢方薬を服用しながら、ヤマイモや豚肉、豆腐などの「補陰」の作用がある食材を積極的に摂り、体を上手に冷ましていくことが大切です。
とは言え、双極性障害も様々なケースがあり、胃腸が弱っている方などは「補陰」に注意すべき場合があります。またうつ状態が長い場合は、「補陰」だけでなく「補気」「補陽」をしっかり考えていかなければなりません。さらには睡眠の安定を優先すべきこともあります。
そして何よりも本人が納得して体のバランスを取り戻すために漢方薬を服用することが大切であり、そのためにはカウンセリングが必要です。今の状況や体質を見ながらの対応が不可欠のため、まずは漢方・中医学の専門家の診断を仰ぎましょう。
双極性障害は、シーソーのように、バランスが行ったり来たりする状態です。そのバランスを安定させればきっと良くなっていきます。ぜひバランスの学問でもある漢方・中医学の知恵を取り入れてみて下さいね。