笑顔が一番-よろず漢方薬局のきままなブログ

静岡県裾野市(三島市、長泉町、御殿場)よろず漢方薬局から様々な話題をお届けします

パキロビッドパックについて

time 2022/02/12

新型コロナウイルス感染症治療薬「パキロビッドパック」が認可されました。
ファイザーは開発が早く、すごいですね。

このパキロビッドパックに含まれるニルマトレルビルと呼ばれる物質は、新型コロナウイルスのプロテアーゼ(タンパク質を分解する酵素)に作用して、その働きを阻害します。
新型コロナウイルスは、ヒトの細胞の中で増殖する時にこの酵素を使って増えるのですが、その働きが失われることで、増殖性能が落ちる、という仕組みです。
分かりにくいのですが、下記毎日新聞さんの図が簡略化されているとはいえ、理解しやすいように思います。

https://mainichi.jp/graphs/20211110/hpj/00m/040/003000g/1

プラスして、リトナビルという、ニルマトレルビルが分解されるのを防ぐ薬剤と一緒に服用します。

驚きはその効果で、プラセボ群(682 名)の 28 日目までの入院又は死亡が 44 名(6.5%)に対し、治療群(697 名)では 5 名(0.7%)と、相対的リスクが 89%減少となりました。

上記の作用機序、頭の中で考えるのは簡単ですが、それを体内で実現するのは本当に難しいこと。
そしてそれが仮に実現したとしても、ほぼ理想に近い結果が出ているのが素晴らしいです。

とは言え、この薬は厄介な点がたくさんあります。
まず併用できない薬が40種類以上あること。
主なところでは、抗不安薬のセルシン、てんかんなどに使われるテグレトールなどです。
また禁忌ではなくとも使用注意の薬もたくさん書かれています。

そのこともあるでしょう、服用該当者は、発症後5日以内で、重症化リスクがある患者とされます。

以下は参考にした感染症学会の資料です。
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_220210.pdf

今までの薬と比較して、かなり有効性が高い印象で、私は画期的な薬の一つと感じます。
新型コロナウイルス感染症が厄介なのは、重篤化しやすいことです。
その重篤化を防ぐ武器がまた一つ増えたことは喜ばしいことであるとは思います。

ただ、漢方薬もこれに匹敵する力はあると思うのですが、なかなか臨床試験を行うような土壌が無いのでしょうね。
また有効性が認められても漢方薬を大量に供給することは難しいため、やはりこのような化学物質を開発していくしか手は無いのかもしれません。

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