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静岡県裾野市(三島市、長泉町、御殿場)よろず漢方薬局から様々な話題をお届けします

静岡中医薬研究会WEB定例会 淳于意と火斉湯

time 2021/07/08

日曜日に静岡中医薬研究会の定例会が行われました。
1年に1回、日中友好定例会として行われるのですが、今回は角屋明彦先生を講師として、「古典のなかの〈薬〉」と題してのWEB講演でした。

角谷先生の講義は、古典の漢文を読み解いていく形式なのですが、中国史を扱ったドラマを取り入れて話が展開し、とても理解しやすく面白いです。
今回は淳于意(じゅんうい)という漢時代の医者の話でした。
「史記評林」という古典を元に、そこに記載されている「火斉湯」という処方に注目して、その時代背景をもとに、謎を解き明かしていきます。
紀元前180年ごろの話ですが、日本はまだようやく弥生時代というところでしょうか、その頃にもう医術が発展していることにまず驚きますね。

その淳于意が漢の王様である文帝に伝えた、25のカルテがあるそうです。
中身を簡単に説明してもらいましたが、痛みや感染症、性病と思われる病気が多い印象でした。
その25のカルテの中に「火斉湯」という処方が何度も出てくるのですが、これが効果抜群。
ですがその処方の具体的な中身は分かりません。
今の漢方の世界で「火斉湯」という処方のお薬は無いのです。
「黄連解毒湯」に近いのではないかという説もあるそうですが、角屋先生は別のポイントを挙げられていました。
「火」は「和」と発音が似ていることから、このカルテを通して、淳于意は「斉」の国の内情を文帝に伝えたかったのではという仮説です。
すなわち「火斉湯」は、淳于意と文帝の間でのみ存在する処方なのです。
なるほど、面白い解釈と感心しました。

なかなか説明が難しいのですが、歴史好きの私にはとても興味深い内容でしたよ。

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