笑顔が一番-よろず漢方薬局のきままなブログ

静岡県裾野市(三島市、長泉町、御殿場)よろず漢方薬局から様々な話題をお届けします

冬の感染症に対する漢方薬のエビデンス

time 2023/11/04

月刊誌、日経DIプレミアム版の10月号の特集は「構成生薬から攻める冬の漢方」でした。
私は、その中の一部「冬の感染症、漢方薬のエビデンスは?」という記事しか読んでいませんが、医療関係者が多く目にする雑誌に、このような漢方に関する記事が出ているというだけでうれしく思います。
漢方に対しての注目度が年々上がっていることがうかがわれます。

記事では、
1)COVID-19患者143症例の調査で、解熱薬などの対症療法を受けた「対照群」よりも、対症療法に加え葛根湯、小柴胡湯加桔梗石膏を併用した「漢方群」で早期に解熱する傾向があり、呼気不全に至る症例の割合が少なかった
2)インフルエンザに対する麻黄湯は、オセルタミビル(タミフル)などと同程度の抗ウイルス作用を持つ。またオセルタミビルと麻黄湯の併用で、有意に発熱期間が短くなる
3)急性感染性胃腸炎に対して、五苓散とラックビーの比較では、下痢や嘔吐症状の軽減については両者に差はない一方で、腹痛と食思不振の期間に関しては五苓散の方が有意に短縮した

という内容が書かれています。
このような西洋医学的評価では、弁証論治と言う、漢方がもっとも大切にする根本的な視点が欠けているのですが、それでもこのような効果を示すデータが出ているという点で非常に喜ばしく思います。

ただ、上記データがあるから、コロナには葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏ばかり、インフルエンザには麻黄湯…ではやはり心配です。同じコロナでも症状は千差万別ですし、葛根湯が合わないケースも多々あります。

科学的なデータを取ることが簡単では無いのは重々承知なのですが、いつの日か、もっと漢方の理論に即した形で、素晴らしいデータに出会えることを期待したいと思っています。

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