笑顔が一番-よろず漢方薬局のきままなブログ

静岡県裾野市(三島市、長泉町、御殿場)よろず漢方薬局から様々な話題をお届けします

柴葛解肌湯について

time 2022/04/15

最近、新型コロナウイルス感染症対策に「柴葛解肌湯」という漢方処方を用い、有効であったとする記事が掲載され注目されているようです。
日経メディカルという雑誌のWEB版に載っているため、私も読んでみました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/matsuda/202204/574540.html
(上記リンクはログインしないと読めないかもしれません)

まず最初に読んだ感想ですが、比較対象が無いため、その効果の判定は難しいのですが、陽性と診断されたほぼすべての患者さんが軽快したとのこと、素晴らしいと思います。
このような記事から、漢方薬に注目する医師が少しでも増えてくれると良いのになあと感じます。

さて「柴葛解肌湯」は、文献によって様々な処方構成があります。
漢方薬メーカーの小太郎漢方さんから発売されいてる「柴葛解肌湯」は「葛根湯」に柴胡、石膏、黄ごん、半夏を加え、大棗を除いた処方構成です。
一方で、私の手元の教科書には、麻黄が入っておらず、かなり内容が異なる印象です。
ちなみに辛涼解表薬に分類されています。
体を冷まして、邪気を追い出す処方ですね。
すなわち、体に「熱」がある時に用います。

文中で「柴葛解肌湯」は「葛根湯」+「小柴胡湯加桔梗石膏」に似ていると紹介されていますが、これは生薬量を加味しておらず、少しアバウトな説明と言えます。
基本的に「葛根湯」は「寒邪」を追い出す処方であり、石膏は強い「清熱薬」です。
相反しているように思われますが、一刻を争うコロナ治療では、このような処方が多くの方に合いやすく、使いやすいのかもしれません。
個人的には、「寒」が強い時は「葛根湯」や「麻黄附子細辛湯」、「熱」が強い時は「麻杏甘石湯」や「銀翹散」を用い、時間経過とともに場合によって「小柴胡湯」を考える、という手がオーソドックスと思います。
結局はインフルエンザ、カゼと同じ対応なのですけどね。

いずれにしても、漢方薬の使用で感染症症状の悪化を防いできた歴史を考え、現代においてもその活用をもっと積極的に考えていけると良いと思います。

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